経営者の業績と給与

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 経営者の給与と、その者が率いている組織(企業・会社・部門・部署)の規模には規則性がある。

 

 それは企業・産業・国・期間を問わず安定した状態になっていて、売り上げが10%増加すれば給与やボーナスが2~3%増加するという相関関係になっている。

 

 規模の大きな会社ほど給与も多く、そして企業が成長するとやはりそれに応じた給与体系に成長する。

 

 この規模の給与への効果は、規模が大きくなると有能な人材を持つことの限界価値が増大するために、そういう人材を確保するための高額な給与支払いが必要になることから、よく理解できる。

 

 つまり企業が大きくなるにつれて、一人の管理者の決定の影響も大きくなる。

 

 市場支配力が増せばプライステーカーとしてただ利益を追い求めるわけにもいかなくなるし、高度な経営判断も必要になる。

 

 またたとえば、町工場の社長なら法律にあまり詳しくなくてもさほど問題にはならないかも知れないが、たくさんの国に進出するような大企業なら、それぞれの国の法律や慣習までも知らねばならなくなってくる。

 

 そう言う人材を組織内に確保しなければならないなら、給与水準が高騰するのもやむを得まい。


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CEOの給与が業績に与える影響

 大企業のCEOがとんでもない高額の業績給を受け取っているという事に対する批判は確かに多い。

 

 だがしかし企業の規模や利益とCEOへの報酬を比率で比べてみると、大企業のCEOの取り分の方が率としては小さくなっている。

 

 つまりこれは企業の規模に比例してCEOなど上級管理者の給与が高くなると言う規則性があるせいであり、アメリカの大企業は規模がとんでもなく大きいせいであろう。

 

 だからCEOに支払う報酬の「利益に対する比率」は小さくても、絶対値の金額としてはとんでもない高額の報酬になってしまっているという事なのである。

 

(そういえば松下幸之助さんも生前は毎年十億円以上収入を得ていたけど、そんな感じかな) だからそういうCEOへの高額報酬に対する嫉妬は別として、問題はこうしたCEOへの高額報酬が企業の業績向上に本当に役立っているかどうかである。

 

 この問題にはまだ、ハッキリした結論はでていない。

 

 というのもCEOに高額な業績給を支払うという制度は、できてまだ日が浅いし、ドイツや日本ではCEOに対してアメリカほどの高額報酬は支払われていないにも関わらず、一般に業績は好調であるからである(もちろんこれは1980年代の話)。

 

 だがアメリカ企業の業績向上は、CEOなど管理者にインセンティブ報酬制度を導入した後であることも間違いのない事実である。

 

 もしアメリカ企業がCEOに、1980年代以前の水準の給与(つまりドイツや日本の企業のような「安月給」)を与えて働かせていたら、果たして今日の隆盛が見込めただろうか? 少なくともあの時代の慣行に戻ることは、誰にとっても利益がない事は確かであろう。

 

 (以上「雇用」の章、おわり)

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