フランチャイズ制小売業
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アメリカでは自動車ディーラー、ガソリンスタンド、コンビニ、衣料店、ホテル、レストラン、納税申告サービス、レンタカー、銀行などを含む多くの事業がフランチャイズ制で営まれている。
アメリカでは30万以上の事業所がフランチャイズとして営業し、一店舗あたりの平均年商はおよそ50万ドル(1ドル=120円で、約6,000万円)である。
フランチャイズ契約を結んだ販売店は、本部企業のブランドを用いながら、小売店を所有・経営し、本部企業から材料や製品を仕入れて再販売する。
本部はフランチャイズ契約を結んだ販売店から、ブランド使用料やロイヤルティ(商品一個あたりの本部の取り分)を徴収し、商品やサービスを販売するための訓練・広告・その他のサービスを提供する。
フランチャイズ制は、その本部企業の名前で小売店が店を出し、その本部企業の指定する商品のみを販売するわけである。
だから、言ってみれば「垂直統合のバリエーション」と考えることができる。
本部企業は傘下のフランチャイズ店に対し一定の基準を課し、強制する権利を保有する。
たとえばそれは、一定水準の品揃えであったり、一定水準の在庫維持であったり、定められた営業日や営業時間であったり、清潔度などのチェックであったり、店員の応対その他などである。
一定水準の品揃えとは、その本部企業が統一的に販売している商品を必ず用意するような品揃えであり、マクドナルドなら、ハンバーガー、チーズバーガー、ビッグマック、、、、と言う風なモノを確実に揃えるということである。
一定水準の在庫維持とは、そう言った商品が品切れせず、かつ、賞味期限切れの商品は出さず、という決められた範囲の在庫を持つということである。
セブンイレブンは年中無休で朝7時から夜11時まで開いている、というのが最低限の売りである。
だから、朝は9時からにします・夜は8時に閉めます、というような営業方法をとるなということである。
これらの項目の検査で不合格になると、様々なペナルティやロイヤルティの割り増し、最終的には契約解除の罰則までが与えられる。
さて、フランチャイズ制の小売業では、垂直的統合形態でありながら、各店が独立して経営インセンティブを持つという特徴がある。
それはつまり店舗自体が本部企業の支店や営業所ではなく、店長自身の所有物であからで、各店舗の経営者には費用を安く抑えて集客し、店舗環境を良好に維持するという、経営のための諸努力を行うインセンティブが存在するからである。
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フランチャイズとホールドアップ問題
マクドナルド社はアメリカに約6,900もの店舗を展開している。
そのうちフランチャイズ店は5,300店で、店主によって所有されたり経営されたりしている。
フランチャイズ店のオーナーは、マクドナルド社のハンバーガー大学と呼ばれる店長養成センターに入るか、他店で一定期間見習いとして働くかして研修を受けねばならない。
その費用はフランチャイズ店を経営しようと言う人間が負担し、それを支払ってもフランチャイズ店を経営しようと言う人間に対して本部企業は契約を結ぶ権利を与える。
この投資は本部企業にとっては契約相手のコミットメント(やる気。
契約を守るかどうか)を確かめる一つのシグナルである。
そしてこの投資は同時にフランチャイズ店を開く人間にとって、常にホールドアップを突きつけられる危険を伴う投資である。
たとえばマクドナルド社は売り上げの良い店舗があると、そこにはまだ大きな潜在需要があるとして、すぐにそこからそう遠くない場所に新しい店舗を開こうとする。
フランチャイズ店のオーナーとしては大きな需要が見込めるから投資をし、経営に精を出していたというのに、後からそこに新店を展開されてはたまらない。
だがしかし、そうだからといってフランチャイズ契約を反故にするわけにもいかないから、そこでホールドアップ問題に突き当たる。
フランチャイズ制企業ではしばしば、こういう問題で本部とフランチャイズ店が衝突する。
フランチャイズ店はだからそれぞれ組合(連合会)のようなものを結成し、近くに店を開く場合の基準やその場合の条件について本部企業と協議することとなる。
自動車ディーラーなどではこれらの「侵食」に対し、様々な法規制を要望している。