企業提携の四つの目的

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 これまで見てきた企業の拡張の方向は、規模と範囲の経済性、コア・コンピテンスと言う要因によって決定されることが多かった。

 

 韓国のラッキー・ゴールドスター社は前述したとおり、自社の製作する化粧用クリームのための容器の「キャップ」を自社で作り出したところから様々な方面に事業を発展していった。

 

 LG社の場合は非常に補完的な(1+1が3になるような)規模と範囲の経済性を追求した結果である。

 

 つまり現在手持ちの技術やスキルと言ったコア・コンピテンスを応用できるだろうと言う目算が立って初めて、新しい分野に進出する踏ん切りが付くのである。

 

 もちろんベータ・マックス・ビデオでVHSに破れたソニーが、その後その敗因を「ソフト」に求め、コロンビア映画やCBSレコードを買収して事業を拡張したように、現在の手持ちの技術を生かすための手段として、その価値を高める事業に進出するという事もある。

 

 一般的に言って、企業の拡張が成功する公算が大きいのは、自社の持つコンピテンスが何であるかをハッキリと知り、それを上手く利用できる方向に進出する場合である。

 

 だがこれらの水平統合も、事業部の数が多くなりすぎるとうまく行かなくなる。

 

 中央で全事業部をコントロールするには、中央にそれぞれの部門の成績評価を行うための専門の役職を作らねばならない。

 

 かといって各事業部に経営権を分権すると、三頭のキングギドラか八又の大蛇のようになってしまい、それぞれの利害の衝突を回避するためにあくせくしなければならなくなる。

 

 近年の「事業のフォーカス化」や「分社化」は、そういうインフルエンス活動やコーディネーションが無駄なコストを生み出していると企業が認識したからであろう。

 

 そして水平拡張時に起こる企業文化の衝突問題も、前述したとおり、大きなコストのかかる問題である。


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企業提携の四つの目的

 企業の連携は何も垂直統合、水平統合だけではない。

 

 企業提携もその選択肢の一つであり、それに関しても様々な利点と短所がある。

 

1)海外市場に参入するための提携。

海外市場に参入するには様々な障害がつきまとう。

 

 日本の市場には日本の消費者や商慣習や商法があり、中国には中国の消費者や商慣習や商法がある。

 

 それらを一々調査して海外市場に参入するには時間もかかるし費用もかかる。

 

 そう言う場合に既に存在する現地の企業と提携し、工場を建てたり販路を拓いたりすることが有力な手段となる。

 

 これらの提携によって十分な利益がある場合は提携関係は継続され、契約満了後増資して現地法人を設立したり、あるいは逆に現地の企業に合弁企業の株式を売却して撤退したりするのである。

 

2)総合メーカーが自社のラインナップの欠落部分を埋めるため。

 総合メーカーが自社のラインナップの欠落部分を埋めるための提携というのも、よく見られる提携のパターンである。

 

 たとえば三菱電機はIBMのメインフレーム・コンピュータを日本でOEM販売するという形でIBMと提携した。

 

 またGMやフォード社は、日本の小型車が市場を席巻した後、自社のそのサイズの車の競争力がないとみるや、トヨタや三菱自動車と提携し、欠落部分を埋める事に成功した。

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