株式会社の資金調達方法

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 企業の資金調達方法は、大きく分けて「負債debt」と「自己資本(エクイティequity」に分類される。

 

 負債は期日までに返済されなければ担保の没収やそのほかの義務を負う借入金で、ローンが返済されない場合には担保が没収される。

 

 だから負債が返済されない状況になると、倒産に結びついてしまう(もちろん担保を設定して資本を貸すのは銀行である)。

 

 また社債も負債の一つであるが、この場合は無担保の債務となる。

 

 すなわち担保物件を設定しない借入金(利払いはもちろんある)で、社債はさらに「優先社債」と「劣後債(れつごさい)」に分けられる。

 

「優先社債」は利率は低いが優先的に返済を約束した社債であり、元本の保証度は高い。

 

一方「劣後債」は利率は高いが企業の業績が悪いと期日には返済されない(返済が優先社債より後回しにされる)タイプの社債である。

 

 貸し手の安全性から言うと、(担保付きの借入れ金)>(優先社債)>(劣後債)ということになろうか。


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エクイティ、転換社債、ワラント債

 一方エクイティ(自己資本)による資金調達には返済義務がない。

 

 株式所有者は企業が倒産した場合、すべての債務(借入金・社債)の返済がすんだ後の残りの資産に対してのみ請求権を持つ。

 

 つまり企業が借金過多で倒産してしまった場合、その企業の株式はタダの紙切れになってしまう。

 

 エクイティには「普通株」「優先株」「転換優先株」などの種類があり、普通株の株主は企業の取締役会を任免する投票の投票権を持つ(その他は投票権を持たない)。

 

 優先株とは普通株主よりも優先的に配当を受け取ることのできる株式で、転換優先株は一定の比率で普通株に転換しうるという条件付きの優先株である(ややこしいね)。

 

 また負債とエクイティの両方を組み合わせた資金調達方法もあって、それが「転換社債」と「ワラント債」である。

 

 転換社債とは、支払期日時点でその企業の株価が高かった場合に社債を株式に変えて受け取ることができるという社債である。

 

 たとえば90万円の転換社債(千株相当:満期五年、満期で100万円)を発行した場合、五年後にもしその企業の業績が上昇し株価が上昇して千株が150万円になっていたら社債の購入者は100万円の現金でなく株式千株で返済してもらえる。

 

 また「ワラント債」は、ある期日にその企業の株式を千株○○円で買えるという権利を約束した社債で、もしその期日に株価が値上がりし、千株○○円以上の株価がついていればその差額を儲けることが可能になるという債権である(ただし株価がそれより値下がりしていて値上がりが期待できなければ丸損)。

 

 こういう転換社債やワラント債は、企業の業績がよければ株式を発行するだけで資金をタダで調達できることになり、期日が来ても「その金を返済しなくともよい」ことになる。

 

 だから、バブル期にはそういう資金調達が大いに流行った。

 

 しかし現実にはバブルの崩壊によって企業の業績が悪化し、株価は大幅に下がった。

 

 だから転換社債の購入者は株券よりも現金による返済を選択するようになったために、企業の資金調達は当初の予想資金調達コストを遙かに上回るコストとなってしまった(バブルの後遺症)。

 

 ワラント債をデリバティブ(金融派生商品:様々な融資や投資をうまく組み合わせて高価い利益を出そうとした組み合わせ商品)に組み込んだ金融商品は軒並み元本割れし、それに大金を投じていた機関投資家(生命保険会社や農協など)は大損をすることになった。

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