投資記事一覧

 ある店舗のオーナーが、近郊で支店の開店を考えているとする。 オーナーはテナントビルを借り、スタッフを雇い、商品を仕入れ、地元の消費者に向かって開店を知らせる広告を打つ。 これらの投資によって期待する収益は、今後10年間に渡る売り上げから得られる利潤からもたらされるモノとする。 一年目の利潤をP1、二年目の利潤をP2、N年目の利潤をPnとする。(1)自己資金による投資 さて、もしここで金融機関や株...

 ある人が商売を始めようとする。 お金を投資して、店でも開こうとする。 このオーナーが借入をせず、自分の手持ちの資金を投資に回さねばならないなら、この投資がなされるかなされないかはオーナーの「好き嫌い(選好)」によって決定される。 しかしもしこのオーナーが銀行や市場から資金を調達できるとしたら、好き嫌いではなく「儲かるか儲からないか」ということによって、この投資の是非が決定される。 自分の手持ちの...

 ある店舗のオーナーが、近郊で支店の開店を考えているとする。 オーナーはテナントビルを借り、スタッフを雇い、商品を仕入れ、地元の消費者に向かって開店を知らせる広告を打つ。 これらの投資によって期待する収益は、今後10年間に渡る売り上げから得られる利潤からもたらされるモノとする。 一年目の利潤をP1、二年目の利潤をP2、N年目の利潤をPnとする。 オーナーがこれらの投資を自己資金で賄わなければならな...

 前回の計算における金利rは、単なる市場金利ではないことに注意しておかねばならない。 資本コストrは、企業がプロジェクト資金を調達するために最低限支払わねばならない利子率の事なのである。 実際の資本コストは税処理や債務契約の制限条項、担保の安全性など、様々な条件で変化する。 借入先が一つであれば話は簡単であるが、複数の銀行やエクイティ・ファイナンス(新株発行による資金調達)によって資金を借り入れる...

 企業の資金調達方法は、大きく分けて「負債debt」と「自己資本(エクイティequity」に分類される。 負債は期日までに返済されなければ担保の没収やそのほかの義務を負う借入金で、ローンが返済されない場合には担保が没収される。 だから負債が返済されない状況になると、倒産に結びついてしまう(もちろん担保を設定して資本を貸すのは銀行である)。 また社債も負債の一つであるが、この場合は無担保の債務となる...

 企業の資金調達方法を「銀行借り入れ(あるいは負債)」と「株式発行」の二種類に限定して考えてみる。 また返済はもちろん負債が優先され、株主への配当や支払いは全ての負債が返済された後に行われるものとする。つまり株主は負債の返済後に残る収益を持ち株数に応じて受け取るということである。 話を簡単にするために、企業はローンを何とかかんとか返済できるだけの収益をあげているとする。 企業のランダムな総収益をX...

 古典的な市場の捉え方では、企業のファイナンス政策(負債とエクイティの構成比率)はそれ自体企業価値に影響を及ぼすことはない。 すなわち企業は銀行からいくらでも借り入れられ、ジャンク・ボンドでもサムライ・ボンドでもカミカゼ・ボンドでも、なんでも発行して資金を集めることができるという条件の元では、当然そうなる。 けれど実際には様々な理由から資金調達には困難がつきまとう。企業政策が何らかのシグナルとなっ...

モジリアーニ=ミラーの定理(復習)●第1モジリアーニ=ミラーの定理 企業を通じて分配される総収益Xが、ファイナンスに関する決定には影響を受けず、かつ、投資家は企業の株式を担保に企業と同じ条件で借入を行えるものと仮定した場合、企業の資金調達構成は企業価値に影響を及ぼさない。●第2モジリアーニ=ミラーの定理 企業を通じて分配される総収益Xが、ファイナンスに関する決定には影響を受けず、かつ、投資家は企業...

 ある企業の株価がその企業のファンダメンタルな(根本的な)能力や価値をどのくらい反映しているかという問題は、大きな問題である。 投資家の期待は投資家自身に知りうる知識による。 だから、ある会社が近々ものすごい新商品を発売しそうだ、とか、別の企業は近々大きな有力企業と合併しそうだ、とかいう情報が流れると、それらの企業の株価は急騰する。 画期的な新商品を開発する企業には元々それだけの潜在能力があったの...

 多くの企業では、経営者と何らかのインセンティブ契約を結んでいる。 アメリカの場合、経営者になる人間は生え抜きの場合もあるが、外部から招聘することもよくある。 だから、どういう業績をあげればいくら報酬を払うか、ということを契約ではっきりさせるわけである。 このインセンティブ契約の指標となるのはインフォーマティブ原理によりわかりやすい指標が選ばれる。 インフォーマティブ原理とは、効果があったのかなか...

 日本では主要会社の株式の約70%が他企業や金融機関に保有されていて、経営陣の評価は株価ではなくメインバンクなどによって行われることが多い。 ドイツでは銀行から多額の借金をする見返りに経営陣に銀行から派遣されたスタッフが加わり、監査役として経営を評価している。 銀行借入が株価による資金調達より大きくなれば、経営者は株価をさほど気にせずとも良くなる。 だから、このような状況が作り出せれば企業は経営者...