モラル・ハザードが起こりにくい理由
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パートナーシップ組織では、さらにモラル・ハザード問題が起こりにくい条件が揃っている。
というのもモラルハザードとは、「ある個人すなわちエージェント(代理人)が、別の個人すなわちプリンシパル(依頼人)の代わりに行動して、プリンシパルの目標を遂行すると想定される状況」(プリンシパル=エージェント関係)で、
1)エージェントとプリンシパルの目的がそれぞれ異なり、
2)エージェントによる報告や行動が、プリンシパルの目標に沿って進められているのか或いはエージェントの自己利益を追求しているのか容易に判断できない
という場合に、「エージェントがプリンシパルの目標とは異なる自己利益を実現しようとする」ということであったから、つまりそこにまず「情報の非対称」があり「業務の委託」がある。
つまり「他の人間が何をやっているのかよくわからない」という前提から「自分が何をやっているのか他人にはわからない」という状況が生まれ、そしてモラル・ハザードが起こるのである。
だがたいていのパートナーシップ会社では、メンバーの殆どが同種の業務を行っていて「他人が何をやっているのかよくわからない」という状況が起こりにくい。
「自分が何をやっているかは他人にだいたいわかってしまう」、、という状況下では、モラル・ハザードは起こりにくい。
またパートナーシップ形態では同種の職業の人間ばかりが集まっているわけだから、異部門とのいさかいが少ない。
つまり製造部門と営業部門が互いを非難し合ったり、あるいは企業の資源配分を巡ってインフルエンス活動を行ったりする必要も殆どないから、意志決定において意見の衝突が比較的少ない。
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パートナーシップ組織は、小さな組織
パートナーシップ形態には様々な利点があるにも関わらず、たいていの企業が株式会社形態を選択する。
それはなぜかというと、
1)事業を展開するのに巨大な資本が必要な場合には、その投資に大きなリスクが伴うから、パートナーシップ形態では資本が調達できない。
2)企業の資本形態が物質的なモノであり、その資本が株式として分割したり譲渡したりできる性質を持っている。
つまり逆に言うとパートナーシップ形態の組織の特徴は、
1)事業を行うのに巨大な資本が要らない。
2)資本も人的資本が重要な資本であり、株式として分割したり譲渡する事ができない。
ということで、だからこそ弁護士、建築士、法律家、会計士、医者、コンサルタントなどの知的専門産業でしか、パートナーシップ形態が採用されないのである