個別消費者の消費計画
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文明が進むにつれて我々は分業によって社会を支えるようになった。
分業化された仕事を専門的に請け負うことによって、各自が自分に必要な財やサービスを一から作る場合より、はるかに多くの財やサービスを作りだし、手にできるようになった。
だがしかし、分業化され専業化が進みすぎたため、全体をコーディネートすることがとんでもなく煩雑で大がかりになってしまった。
しかし自由主義社会に置いては、共産主義国のように中央政府が財やサービスをコントロールしてコーディネートしているわけでもないのに共産主義国よりはるかにうまくそれがコーディネートされている。
巨大でグローバルな地球規模経済でなぜそんなことが達成可能であったのか、この章では自由市場の働きについて考えてみる。
個別消費者の消費計画
経済を構成している個別の消費者について考えよう。
消費者は様々な資産を持っている。
そのリストをベクトルEで表してみる。
つまりこの世にあるありとあらゆる価値に番号をつけ、i番の財をその人がいくつだけ持ってるか、ベクトル表記しようというわけである。
たとえばE1:お金E2:労働力E3:土地や貴金属など金銭以外のストックE4:知識E5:食費や光熱費、家賃(生活必需品)E6:自家用車(趣味・嗜好品)とすると、ベクトルEは、 E=(E1、E2、E3、E4、E5、E6)となる。
さてここでAさんという人を登場させよう。
Aさんは一ヶ月の労働力E2の80%を雇用主に提供して、代わりに賃金としてお金E1を二十万円もらうとする。
この時Aさんの持っている資産のリストEaはE2が減り、E1が二十万円増えることになる。
次にAさんはお金E1を10万円支出し、生活必需品E5を一ヶ月分購入する。
この時はE1が10万円減り、E5がその分だけ増える。
そしてさらに趣味の車の月賦を一月分支払い(E6)、たまには本や講習会に出かけて知識E4を増やすとすれば、E2が少し回復し少し増える。
つまり娯楽によって労働力が回復し、勉強によって労働力の質が高まるわけである。
最後にE5の支払いによって購入した財やサービスによってAさんは自らの労働力E2を回復することができるとすると、Aさんの内部でE5がE2に転換され、翌月また労働力の何割かを提供できるようになる。
ここでAさんが売るのは労働力だけであるが、他の資産を売ることだってある。
住んでいる土地を売ることもあるし、趣味で集めている貴重なトレーディング・カードを売ることだってある。
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局所的非飽和性
またAさんが労働者だからと言って、労働力は売るばかりではない。
たとえば医者に言って自分の病気を診てもらう場合は、医者の労働力E2と医療知識E4と薬E5をお金E1と交換するわけである。
だからリストの全ての項目について、Aさんは売り買いをする可能性があるわけである。
そしてAさんの売る財やサービスのリストをS(SellのS)、買う財やサービスのリストをB(BuyのB)とすると、
- 収入: PS= p1*SE1 + p2*SE2 + p3*SE3 + p4*SE4 + p5*SE5
- 支出: PB= p1*BE1 + p2*BE2 + p3*BE3 + p4*BE4 + p5*BE5
となる(SEiは、Eiの売る量、BEiはEiを買う量、piは財iの価格)。
この時Aさんは持っている資産を売るわけだからSEi≦Eiである。
またAさんの持っている土地や株式から得られるお金(賃料や配当)をFDとする。
(FD=Σf*di) ここでもしAさんが収入を全て支出に使ってしまうと仮定すると PB(支出総額)=PS(所得総額)+FD(地代・配当総額)となる。
すなわち人間は常に現状に満足しない。
このような仮定を「局所的非飽和性」という)のだ。
しかし、効用(満足)の最大化を目指す消費者は所得全てを何かのために支出すると仮定するわけである。
これは、貯金も将来の消費のための支出と見なしていることになる。
今日のまとめ
注意.「局所的非飽和性」「局所的な満足非飽和」(local nonsatiation): どの消費の組み合わせを取り上げてみても、その近くにはもっといい消費の組み合わせがあると人間が考えること。
読むのでRの記述はちょっと間違ってましたね。