買収プレミアム
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テンダーオファーなどによってテイクオーバーが起こる場合、株式や債権を売り渡した株主には、通常の株価より30-50%高い買い取り代金が支払われる。
これを買収プレミアムというが、時には100%を越えることもあり、ナビスコ社の買収の時には40ドル代で取り引きされていた同社の株式に108ドルもの価格が付いた。
またブリジストンがファイヤーストーンを買収した時には、ファイヤーストーン社の株式の時価総額10億ドルにたいして26億ドルの資金が用いられ、株主はおよそ160%もの買収プレミアムを受け取った。
しかし買収を行った企業の株価には殆ど大きな変化はなく、買収そのものによって利益を得るのは、買収された企業の元株主だけのようである。
買収プレミアム発生源とは、一体なんだろうか? 買収プレミアムの発生は、買収企業が「大帝国」を築くための欲望にかられた乱暴な行為であると見ることができる。
買収した企業が果たしてプレミアムに見合うだけの利益をあげることができるかどうかは、不確定なことである。
だから買収に費用がかかりすぎると、買収を行う企業の業績は悪化するかも知れないので、株価は下がったりする。
いわゆる「のれん代」というのが、近い将来、損失として計上される可能性も高いしね。
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のれん代は将来の損失?
また買収プレミアムの存在は、買収される企業の株価が実際より低く評価され放置されているという可能性もある。
すなわち「やりようによってはもっと儲かるはずの企業だってことだ。
経営者がボンクラでどうしようもない」から株価は低迷していたのであって、経営者が違っていたら株価はもっと高くても妥当だ、、、ということである。
また買収プレミアムは、その企業のキャッシュフローの請求権とそれまでに他人の受け取っていた価値の移転であると考えることもできる。
すなわち買収された企業の従業員の総賃金は、買収される前よりたいてい低くなる。
それがつまり買収プレミアムの一部を埋め合わせるというわけだ。
また変わった説としては、買収時に増えた負債が節税対策になり、買収プレミアムの一部を埋め合わせるということもある。
だがしかし、それでも買収プレミアムを全て埋め合わせることはできない。
買収プレミアムの埋め合わせは、同業種の企業を買収し、効率的な経営規模拡大利益と、それに伴って不要になった資産の売却によって賄われるモノだと考えられる。
株式市場で作られる株価に、プレミアムを乗っけて買収するわけだから、買収時点では「のれん代」と呼ばれる費用があるが、ビジネスが上手く行けば、のれん代はゼロに近付いていく。
逆に買収後にビジネスが上手く行かなかった場合、買収プレミアムはムダな投資となって、のれん代はどこかで損失として計上しないといけなくなる。
のれん代と買収プレミアム(解説)
たとえば、時価総額300億円の企業を、2割の買収プレミアムを乗せて、360億円で買収した場合、のれん代は360億円-300億円=60億円ということになる。
買収した企業の利益が、買収後に伸びなければ、この60億円は損失になる。