組織の昇進政策

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 昇進は組織の中の有能な人物を、適した仕事に就けるための配置法の一つである。

 

 ヒエラルキー上層の仕事は、より高い水準の知識と技能を要求するとともに大変な責任を伴う。

 

だからそのような知識と責任を担うだけの能力を持つ者をそうした仕事に割り当てることが、企業や組織にとって非常に重要なこととなる。

 

 より低いポジションにいる者は機械的な処理しかさせてもらえないし権限や裁量権も小さいが、それに対する責任は小さい。

 

 一方より高い地位にいる者はより大きな権限と裁量を持っていて、その責任は低い地位にいるものと比べモノにならないくらい大きい。

 

 だが新たに雇い入れた人材がそのような大きな責任を背負うのに適しているかどうかは分からない。

 

 その人材が野心的であるかあるいは石橋を叩いて進むような人物か、問題処理能力があるか、あるいは社交的能力や交渉能力が充分か、、、 職務にも様々な職務がある。

 

 だから、誰がそれに適していて誰がそれに不向きであるかは、ある程度時間がたたねば分からない。

 

 また企業や組織にはそれぞれ様々な慣行があって、権限や裁量権と責任の所在がまちまちである。

 

 だから、それを理解するにも時間がかかる。

 

 権限や裁量権と責任の所在がまちまちである。

 

 だから、それを理解しないとうかつには動けない。

 

 地位の低いポジションの者は権限や裁量権がほとんどないにも関わらずなぜか責任だけは大きい、なんていう甘えた企業や組織はザラにある。

 

 新たに雇い入れた人材はそう言う企業特殊的な情報を持たないから、組織はまず人材をヒエラルキー下位に配置してそれを観察させたり学ばせたりする時間を与えるわけである。

 

 そうして組織は自組織の目的に適した人材を養成し、それをしかるべき役職に就けることによって、効率的な運営を行うことができる。

 

 つまりそれが「昇進政策」である。


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インセンティブと褒賞としての「昇進」

 昇進政策の持つもう一つの機能は、「昇進が従業員を組織のために働かせるインセンティブになる」ということである。

 

 昇進すれば権限や裁量権も大きくなる。

 

 だから、やりたかったこともできるようになるし、周囲の者から受ける扱いも違う。

 

 だから従業員は組織のために働いて、昇進しようとする。

 

 だが地位に応じて報酬が決められているというシステムにおいては、「褒賞」として「昇進」が用いられることが多い。

 

 つまり平社員の何年生は給料がいくらで、係長がいくら、部長がいくらで、社長はいくら、、、という風に、報酬が決まるという仕組みである。

 

 このような報酬システムでは、常に不適切な人材資源の配置が起こっていないかどうかを心配せねばならない。

 

 なぜならどんなに優れたエンジニアであっても、管理職としては凡夫に過ぎないようなことは往々にしてある。

 

 業績を上げても報奨金や一時金のようなシステムがなければ、ある専門分野で業績を上げた者を総合職に就けるような「昇進」によってしか、その働きには応えられない。

 

 そうするとあげた実績に応えるために「こういう地位を与えたらちゃんと仕事をしないのではないか」、、と思っても、昇進させるしかないことになる。

 

 だから人材の適材適所配置が常に狂うおそれがある。

 

 また昇進政策には別の問題もある。

 

 金銭的褒賞や罰則は常に行えるし、大きさや対象人数も常に加減できる。

 

だが昇進となると不連続であり、しかも昇進先のイスの数は決まっている。

 

 だから、昇進できるものとできないものとの差は大きい。

 

 限られたポストを巡る昇進競争は、企業の中にいさかいや摩擦を引き起こしやすい。

 

 協力やチームワークが必要な仕事もうまくいかなくなり、組織にとって重要な案件に関しても混乱がおこるという懸念もある。

 

 もちろんよい業績を上げた者に高賃金の仕事を与えるという解決策もあるにはあるが、しかしこれは「各仕事にそれぞれの賃金を結びつける」という点では昇進政策と変わりがない。

 

 というのも業績の善し悪しがハッキリ分かるような部署や仕事の場合は問題は小さいかもしれない。

 

 しかしそこがハッキリしないような部署や仕事の場合は結局仕事の内容や責任によって賃金を支払うしかなく、責任が大きい者は結局昇進させることになってしまうからである。

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