コーポレートコントロールに関する諸問題の原因
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株式会社は株式公開によって株式会社は事業失敗のリスクを分散することができる。
そうすると投資家は様々な企業の株式を所有することによって、自らの投資のリスクを分散させることができる。
自分の資本を使って事業を行えば、どうしても「リスク回避的」になりがちである。
そうすると新しい事業に踏み出すことは容易でないが、株式会社であればリスク中立的な行動が可能になる。
それは他人の金で事業を行って、儲かれば自分が儲かり儲からなければ株主の株券が反故になるだけだ、、、ということに由来する。
だから、逆に自社の株式を殆ど所有していない経営者や取締役は、株価や配当を軽視し株主に対して様々なモラルハザード問題を引き起こすことになる。
つまりコーポレートコントロールに関する諸問題の原因は、実は株式会社のそういう特徴(長所)と表裏一体なのである。
ではそういう株式公開会社の弊害を減らすことのできそうな形態では、どうなるのだろうか。
それらの形態として考えられるのは、
- 非公開企業
- LBO(レバレッジ・バイアウト)協会
- パートナーシップ
- 従業員持ち株企業
- 協同組合
- 非営利組織
等である。
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パートナーシップ組織
弁護士、建築士、法律家、会計士、医者、コンサルタントなどの多くの知的専門産業に携わる者は、パートナーシップで会社を作り運営している。
パートナーシップとは、二人以上が共同して事業を行い損得を分け合うと言う形態で、パートナーは無限責任を負う。
「社団的」「組合的」という分類で言えば「組合的」であり、パートナーは他のパートナーの同意ナシにパートナーシップの財産を処分する事はできない。
株式公開企業であれば、企業の失敗は投資家の株券を反故にする形で負担されるが、一人のパートナーの失敗の責任はパートナーシップ全体で担わなければならず、パートナーの所有物全てがその担保となる。
だがパートナーシップ形態だからといって、その規模が小さくなるわけではない。
たとえば千人以上の会計士からなる会計事務所も存在するし、最大級の投資銀行パートナーシップも取引額は何十億ドルにものぼる。
だから少なくとも、中企業くらいの大きさはあるのである。
無限責任の長所の一つは、投資家が経営者の行動を監視するコストが要らないことである。
すなわちパートナーシップではパートナーの全財産が担保になっているので、その行動や判断は通常その全財産を保全する方向に向くと考えられるからである。
これは自社株100%所有の経営者の行動を(少なくとも経営面で)監視する必要がないのと同様のコトであるが、このような「保証金システム」はモラル・ハザードや逆選択があるような場合に有効である。
というのもパートナーシップでは、負債の担保として全員の財産が設定されることになる。
だから、自らの財産を他人のせいで失いたくない者は信頼のおける者としかパートナーシップを結ばないだろう、と考えられるからである。
また所属するパートナーもコストを抑制して収入の増加をはかり、懸命に働くインセンティブも持ち、他のパートナーの行動を監視するインセンティブも持つだろうと考えられるからである。