投資が近視眼的になる原因

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 多くの企業では、経営者と何らかのインセンティブ契約を結んでいる。

 

 アメリカの場合、経営者になる人間は生え抜きの場合もあるが、外部から招聘することもよくある。

 

 だから、どういう業績をあげればいくら報酬を払うか、ということを契約ではっきりさせるわけである。

 

 このインセンティブ契約の指標となるのはインフォーマティブ原理によりわかりやすい指標が選ばれる。

 

 インフォーマティブ原理とは、効果があったのかなかったのかがよく分からないようなことを指標にするより、ハッキリ結果が分かることを指標にした方が、働く人間はしっかり働くという原理だ。

 

 そのために収益率・業績・株価などが指標として利用される。

 

 だからもし企業の経営者が自らの業績を高く保ち、自らの地位を守ろうとするなら、投資家にはなるべく格好のいい情報を提供して株価が下がらないように気を配るだろう。

 

 とすると、経営者は必然的に中長期的な投資ではなく、非常に近視眼的な投資に多くの資本を振り向けることになる。

 

 短期ですぐに実績が上がるような方面にばかり企業資源(資金や人材や技術)を配分することとなる。

 

 そして一方一般の投資家は、そんなに特別な大金持ちではないから、そんなに長期に渡る投資には耐えられない。

 

 何十年先に成功するような事業に、資産も貯金も乏しいサラリーマンがいったいどうして投資できるだろう? また長期的な投資は見通しが悪い。

 

 結果がどうなるかなんて誰にもわからず不確実すぎる一方、短期的投資なら比較的予想が立てやすく結果に関しても納得がいくことが多い。

 

そういうわけだから当然投資家達も非常に短期間で投資の結果が分かり、収益を上げたり投資を回収したりという近視眼的投資に貴重な自分の資金を優先的につぎ込むこととなる。

 

 その結果企業の経営者は長期的展望にたった先行投資を行うより、短期的に結果の出るお手軽な投資に力を入れることとなる。


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長期投資を行わせるための方法

 だがしかし将来の収益を確保するのには、地道な努力と長期的な展望にたった投資が必要だ。

 

 だから企業は経営者に対して短期的な投資だけでなく長期的な投資も充分行うようなインセンティブを与えなければならない。

 

 それにはたとえば政府の補助金政策なども有効だろう。

 

 だが投資家も企業のリストラや合併、あるいは不採算部門の売却に大きく反応するのだから、投資家が全て中長期的な投資を評価しないと言うわけでもない。

 

 経営者に長期的投資を行わせるための方法としては、

 

1)株式の多くを、すぐに売却して売買利益を上げようとしない株主に売却する(日本型)。

 

2)企業の経営資金の殆どを銀行から借りる(ドイツ型)。

 

 という二つの方法がある。

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