報酬の形態と機能

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 組織内において労働者が手にする報酬は非常に様々な形をとる。

 

たとえば、・固定給(週給または月二回給または月給)・出来高給または歩合給・ボーナス・年金の積立て(給与の後払いと解釈される)・フリンジ・ベネフィット(健康保険/障害保険/フィットネスクラブの利用/引越し手当/学会参加費用の負担)、、、などなど。

 

 また主に経営陣に与えられる報酬としては・特別な食堂の利用や社用車の利用、・自社株の優先的取得権(ストック・オプション)・多額の退職金(ゴールデン・パラシュート)などなど。

 

 給与政策は組織で働く構成員を組織の利益のために動機付けるために非常に大きな意味を持っている。

 

 給与政策が妥当でないと、組織は構成員それぞれが勝手に行動し、目先の利益のために走るだけ、、ということになりかねない。

 

個人業績のためのインセンティブ

 

 以前にも取り上げたとおり、プリンシパル(仕事の依頼人:雇い主)がエージェント(代理人:仕事を実行する人間)に、期待通り働いてもらうのはたいへん難しいことである。

 

 特に肉体労働を伴うような職務では、労働者の働き自体が全体の生産性を左右する。

 

 だから、間違った動機付けや不十分なインセンティブしか用意できないと、一辺に効率が落ち当初期待された業績をも達成できなくなってしまう。

 

 単純な力仕事でさえそうであるのだから、複数の仕事を任務として与えて仕事をさせるのは容易ではない。

 

 そのためにまず用いられるのが「出来高給」である。

 

 出来高給とは、業績一単位に対して○○円支払うと言う給与システムであり、単純でわかりやすい。

 

 多くの研究によると、出来高給を実施すると生産性がそれまでより15%から35%くらい上昇する。

 

 出来高給はわかりやすいだけに、より熱心な労働者を引きつける働きがある。


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出来高給の欠点

 出来高給によって生産性が上がると入っても、それはある特定な場合であり、様々な欠点がある。

 

1)出来高払いは、割り増しを与える水準を決めるのが難しい。

 

 たとえばある一定水準以上の生産量や取引を業績として認めるとしても、その区別がハッキリしていないと不良品や不適格な取引が業績としてカウントされて、全体の業績向上に結びつかない場合がある。

 

2)出来高払いはシンクロ問題を引き起こす場合がある。

 

 つまり営業の人間が山ほど注文をとってきても、工場の生産規模やサービス部門の人員が追いつかなければ結局注文に応えられない。

 

 また逆に需要が落ち込んでいるのに生産力が大きすぎて、返って損するような、アンバランスが生じてしまう。

 

3)出来高払いは独立した仕事でなければ有効性が薄れる。

 

 たとえば工場のライン生産のような仕事では、一部門の生産性が全ての生産性によって制限される。

 

 だから、どこかの部門が出来高払いの恩恵を受けられないような場合、そこが全体の足を引っ張りかねない。

 

 要するに一番遅い部門の生産性に依存してしまうから、ある部門の労働者に意欲があったとしてもそれが結局報酬に結びつけにくいと言うことが起こる。

 

4)出来高払いは目先の短期的な成績を追い求めやすい。

 

 出来高払いは製品などの産出量に対して歩合が支払われることになる。

 

 だから、「均等報酬原理」が示すように短期の売り上げに直接影響が反映されないような部門では採用できず、その部門に対してはインセンティブが与えられない。

 

 1)の問題に関しては、商品の品質をチェックするという解決法が考えられる。

 

 だがしかしそれはコストがかかるし、欠陥や欠点についての責任を労働者に負担させることができるのは、それが機械の性能や故障のせいではなく、完全に労働者の責任であるとハッキリする場合だけである。

 

また出来高給制では、何度も書くが「施設や機械を酷使して生産を上げようとするインセンティブが生じる」。

 

 トラックの運転手がトラックを酷使して出来高給を稼ごうという行動に出ればトラックは早く傷み、会社は損をする。

 

 また一度決めた出来高給の支給割合を変更する場合も問題がある。

 

 なぜならそこには「ラチェット効果」が生じ、結局低水準で非効率な生産に落ち着く可能性が高いからである。

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