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コーディネーションの重要性
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企業が組織を事業部制にすると、各部門間のコーディネーションがより重要な問題となってくる。
たとえばジェネラル・モーターズがスローンによって再編成される以前には、ビュイック・キャデラック・シボレー・オークランド・オールズなどの各生産事業部長には、独立した権限が与えられていた。
しかし各生産事業部間や販売部門との連携(コーディネーション)はあまりとれておらず、中央本部にはそれぞれの部門の業績評価やコーディネーションを行うだけの情報と能力に欠けていた。
各事業部がバラバラに部品調達を行いバラバラに製品戦略を展開したために、範囲の経済性も達成されず、ジェネラル・モーターズとしての商品デザインも統一されなかった。
販売と生産のコーディネーションも上手くいかず、事業部に在庫コストを求めなかったせいで「生産水準はたいてい販売水準を上回った」。
事業部制のこのような問題を克服するために、GMは新たな任務を担う戦略部門を中央に設置した。
これらの部門では大まかに言って
- 1)全体としての戦略計画立案
- 2)各事業部間のコーディネーション
- 3)事業部と部長の業績評価
という業務を行う。
より具体的には・各事業部のターゲット市場の割り振り・規模の経済性(範囲の経済性)を協調して実現するためのグループ会議の開催・より包括的で実用に耐える事業部別の業績評価指標の作成などが本部スタッフの任務となった。
また資金調達や資源配分を本部が専門的に行うようになったので、各部門の資金調達スタッフが不要のモノとなり、資本コストの節約となった。
GMのこの改革は成功し、よってそれ以降に事業部制を導入した企業の手本となった。
このようなことから、事業部制導入は多角化した企業の経営に最も価値が高いと考えられる。