年功賃金制度は、特殊な組織にのみ存在する
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年功賃金制度というのは、市場が拡大しつづける経済成長期の産物だという。
また軍隊などの忠誠心が必要とされる組織にのみ特有な報酬制度だという。
これは堺屋太一さんなどの本には載っていましたが、最近までそれがピンとこなかった。
それがなかなか顕在化しなかったのは名目インフレのせいで、今になって考えてみると、インフレというのも年功賃金制度を支える大きな要因やったんやね。
実質賃金が横這いや下降でも、名目インフレがあれば名目的な賃金(要するに賃金の額面)は上げられるので、年功賃金制度が維持できた。
「失われた十年」なんて言っても、1990年代前半に価格が下がったのはバブルで異常な高騰をみせた土地価格だけやったから、年功賃金制度はなんやかんや言っても存続した。
つまり年輩者の賃下げは起こらなかった。
しかし1990年代末から日本を本格的なデフレが襲い、実質賃金のが高騰した。
名目インフレでもあればまだ、名目賃金も引き下げずに済ませられるのだ。
しかし、そういうわけにもとうとう行かなくなった。
年功序列賃金制であれば空気のごとく当たり前に従業員に「働くインセンティブ」や「会社に利益をもたらすための動機付け」を与えることができたが、これからはもうそう言うわけにも行かなくなった。
というわけで、「会社の若手が全然働かなくなった」のは実は、「社長を初めとする管理職が働くインセンティブや動機付けに失敗した」ということであり、管理職が無能かサボっているという証拠になる時代になったということらしい。
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金のために働く人の割合
人間は別にお金のためだけに働くわけではないから、賃金を上げる以外にも働きの良い者によりよい待遇を与えることによって報いることも可能なはずである。
たとえば休暇。
ボクなんか本は読みたいし文章は書きたいし大東流の稽古も十分したいから、給料は少なくてもいいから週に三日確実に休める会社があれば、すぐに転職準備に入る。
そして会社近くの住宅。
最近は財務体質改善などといって、都心にある土地や社宅もドンドン企業は手放しているが、東京や大阪などの通勤地獄を考えれば、都市内部に社宅を持って相場より二~三割低い家賃で従業員に提供できれば、無茶苦茶いい待遇になる。
都心の有名な食品スーパーにも、店の裏手にしっかりした従業員寮や社宅を持っているところがあるが、それによって通勤手当を節約したり、仕事のために失われる通勤時間を従業員個人に返すことも可能なはずである。
東京へ出てきて分かったが、会社に十時間以上居て通勤に毎日三時間以上使ったら、もう殆ど何もできないし脳も死ぬ。
人によって幸福感は違うから、何も業績に報いる手段を金銭のみにする必要はないと思う今日この頃。
といっても昨年末の調査結果では金のために働く人の割合が、とうとう一位になってしまったそうだけど。