フランチャイズと評判
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フランチャイズ制とは、本部のブランドと信頼度をフランチャイズ店に供与し、フランチャイズ店全体でその価値を維持するシステムである。
東京でも大阪でも、北海道でも福岡でも、水準以上の同質のサービスを受けることができるというのが、フランチャイズ制小売業の強みであり「売り」である。
だがしかしその「評判」は、もろいものである。
一度しっかりとしたブランド・イメージか確立してしまったら、フランチャイズ店のオーナーはそのブランドによってもたらされる集客力だけを利用し、適切な投資を怠って水準以下のサービスで自らの取り分だけを増やそうとする誘惑を持つ。
これは一種の「フリーライド(ただ乗り)」であるが、そういう店の経営者は店舗の掃除や品揃えをおろそかにし、売れるモノだけをたくさん仕入れ、什器や蛍光灯などをボロボロになるまで使おうとする。
だがしかし一つの店舗でそう言うことをされると、全体の評判を落とす原因となる。
たった一店舗で起こった不手際が噂になると、全体のブランド力が落ち、他店の集客力にも影響を及ぼす。
そうなると、これまで築き上げてきた努力や投資がフイになりかねないから、本部企業はフランチャイズ店に対して契約解除をいつでも行える権利を保有し、早めに対処しようとする。
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フランチャイズの本部コントロール
フランチャイズ店では一様なサービスの提供が要求されるが、それは販売商品のラインナップを変更する場合も殆ど同時に実行しなければならないと言うことを意味する。
新しいサービスが始まったと聞いてやってきたお客さんに対し、「ウチではやってません」と言うと、フランチャイズ制のメリットである「一様性」が達成できない。
だからフランチャイジーは、イノベーションに伴う変化も同時に行わなければならない。
だがしかし新しいサービスを提供するためには、新しいトレーニングと新しいコストが必要であると言うことだから、どこかの一店が「ウチはそういうことはやらない」と言いだす可能性がある。
店舗数が多くなればなるほど全体のコーディネーションは難しくなるので、本部企業はフランチャイズ店に対し強い権限と干渉力を保持しようとするインセンティブをもつ。
だがこれも本部企業がフランチャイズ店にホールドアップを突きつけているということである。
だから、ヨーロッパ共同体(EC)では長年これらの本部企業のコントロールに不快感を示してきた。
組織の目的と個人の趣向とどちらをとるか、、と言った場合、(個人の)自由が尊重されるヨーロッパでは当然組織による支配力を牽制しようとする。
これらはフランチャイズ店側が連合会や組合などの組織を編成し、本部企業側と交渉によって双方の権利と義務の取り決めを行う必要があることを意味する。
フランチャイズ制小売業の契約は、モノを金と交換するだけの契約とは根本的に異なるからややこしい。