技能給
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正規の従業員に支払う「技能給」は、インセンティブ報酬の一種だ。
現場での直接的な業績ではなく日頃の従業員の技能の修得や向上への投資に対して褒賞したり動機付けを行ったりするモノである。
これらのプログラムは日本の大企業では一般的であり、北米とヨーロッパでも各地で試みられている。
この場合給与は仕事に付与されているのではなく、従業員の修得している技能(たとえばある機械を運転できる、メンテナンスできる、修理できる、などの技能)によってランク分けされる。
ランクが高いほど給与は高くなり、高い給与をもらっているモノはその仕事に関しては殆どの仕事をこなせることになる。
仕事に給与が付与されている場合は、技能が伴わなくてもよいが、この場合は技能がなければ高い給与をもらえない。
こうした方法は一方では人的資本に対する投資を促進し、労働力の割り振り・配分に「価値がある」。
だが滅多に使わない技能に対しても高い給与を支給せねばならず、ムダも生じる。
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管理者の業績給
インセンティブ報酬契約を結ぶ対象者は、何も小売り販売員や営業マンだけには限らない。
一般に、モニタリングが難しい職務をこなす人間には、インセンティブ報酬契約がよく用いられる事が多く、管理者などはその典型である。
たとえばマクドナルド社では、各レストランの管理者に褒賞を与え、動機付けを行うために何十年も明示的な業績報酬制度を用いてきた。
店長と次長を対象に、店の質・サービス・清潔さ(QSC)をベースとした「基本給」と努力によってコントロールできる売り上げからの純利益に比例した四半期ごとの「ボーナス給」の組み合わせで、報酬を決定していた。
この制度は不評であったのでその後、店のある地域の生活水準に合わせた基本給と、QSC・費用コントロール・収入・人材訓練の面での業績によった割り増し(各10%程度の割り増し)を支給するという制度に改められた。
QSCはもちろん「チェーン店としての評判の維持」が目的で、また「訓練」は当時急速に拡大しつつあったチェーン店展開で優秀な人材の需要が大量に生じたからであった。
これらの方式は、管理者が会社の目的を支援する様々な職務に目配りするように動機付けることを意図して設計されている。
そしてこれらの動機付けに金銭的差異をわずかに付けることで、会社は各地の店長や次長にその地域や経済状況においての会社の意図や優先順位を示すシグナルを送ることができるようになっている。