教員に対するインセンティブ契約の問題

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 初等・中等教育の改善を目的とした教員に対するインセンティブをどのようにすべきか、、、という問題がある。

 

 つまり生徒の学業成績を指標として何らかの報酬インセンティブを教員に与える場合、ペーパーテストの結果のみを指標として用いるのは是か非かという議論である。

 

 「インフォーマティブ原理」によれば、真の業績を反映しやすい指標、つまり指標のばらつきが一番小さい(つまり分散が小さい)指標を用いることが業績を判断するための一つの「コツ」であるということになっている。

 

 だから、ペーパーテストによる判断は妥当だといえる。

 

 がそれでは教員がテスト問題を生徒に教えたり、あるいはペーパーテストで判定し得ない生徒の成長(たとえばリーダーシップだとかチャレンジ精神だとか公共福祉の精神とか)を阻害したりするという問題が頻繁に起こるだろう。

 

 だから均等報酬原理に従えば、ペーパーテストに反映されないような類の教育に対してもインセンティブを与えなければならないことになるのだ。

 

 しかし、こちらはさっきも言ったとおり、業績が判定しにくいものである(判定誤差のばらつきがとんでもなく大きくなる)。

 

 だがしかし固定給であると問題教師やモラルハザードは排除できないし、、、困った問題である。


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インセンティブ強度βと均等報酬原理

 自分の時間や肉体を含めた自分の持っている資産を投資して、それを回収しその資産を今度は別の投資に回せるような状態の人間を特に「資産所有者」と呼ぶことにしよう。

 

 で労働者の持つ資産つまり「労働力の価値」を、努力水準e1と確率要素x1を用いて表してみると、A(e1)+x1 と表せる。

 

 ただしこれは「実際価値」で、雇用主の観察できる価値ではない。

 

 実際に労働者がどれだけ努力しているかなんて、身近にいる仕事仲間くらいにしかわからないし、結果につながるまでのタイムラグ(時間差)の問題もある。

 

 だから、相当ヒトを見る目のある経営者でないとそれはわからない。

 

 だから雇用主は簡単に観察できる「産出価値」、つまり売り上げや利益などを示す値 e2+x2 を指標として、インセンティブを与えようか、、、と考える。

 

 この方法で従業員に報酬を支払うとすると、その額は当然 α+β(e2+x2) α:固定額、β:インセンティブ強度となるわけだ。

 

 しかし、一方均等報酬原理を考えると、企業は果たして従業員に課すインセンティブ強度βを単純に正の値にしていいものかどうかという問題が起こる。

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