規模の経済性
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企業提携の目的には、4タイプの目的がある。
一つ目は、海外市場にアクセスするためだ。
一から海外拠点を築くと時間もかかるから、既に海外に進出している企業と提携する。
二つ目は、製品のラインアップを充実させるために、他社OEMを利用する。
たとえばトヨタは軽自動車メーカーやトラックメーカーと提携しているが、これは自社で軽自動車や大型トラックを作っていないからだ。
では残りの2つは何か。
3)規模の経済性を達成するため。
提携は何も二社間で結ばれるだけとは限らない。
特に規模の経済性が必要となる事業の場合、もっと多くの企業間で提携が結ばれることが多い。
たとえば次世代の戦闘機や大型高速コンピュータ、商業用打上げロケットや人工衛星などを作るような事業の場合、殆ど全ての部品が新しく開発する部品である。
部品を新しく開発するということは特殊的な資産投資が必要だと言うことだから、これらの部品で組み立てた製品がたくさん売れなければ投資を回収することは難しい。
このような投資を一社で行うにはとんでもないリスクを背負うこととなる。
だから、政府や大企業が中心になって他企業と提携を結び、リスクを回避しようとするのである。
もちろん販売に関して範囲の経済性が必要な場合の提携もある。
たとえば眼鏡店と眼科医が隣接していたり、同じフロアで向かい合っている場合、これらが提携して店を出している事もある。
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4)自社に欠けている技術を提携先から収得するため。
企業提携は、参加する各企業が相手に欠けている資源やコンピテンスを持っている場合に結ばれることが多い。
だがこの形の提携は、有益な資源やコンピテンスを持つ企業にとって、諸刃の刃である。
というのもいくら厳重に自社の財産を隠そうとしても、提携によって自社の優勢な技術が何らかの形で流出するのは止められない。
他企業が提携によってそれらの技術を身につけたら、自企業にとって強力なライバルになりかねない。
たとえば中国のスーパーやデパートは、外国資本のスーパーやデパートと結んだ10年間の提携契約が終了すると、必ずと言っていいほど提携関係の終了を通告して来るという。
外国資本が契約の延長を申し入れてもたいてい拒否され、そしてそれまでの投資を回収しきれない場合も多い。
提携を結んでいた外国資本にしてみれば、この提携は中国市場に参入するための提携であり、それなりの大きな投資をし続けたはずだったのだ。
しかし、そうして逆に参入先の国の企業を育ててしまう羽目になる。