努力水準とインセンティブ報酬制度

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 努力するにも何らかのコストがかかる。

 

 業績アップのために本を読んだり英会話学校に通ったり、、或いはその他の様々なトレーニングを行ったり、、、、。

 

 これらの費用をC(e)で表し、そしてIにα(基本給)+β・(e+x+γy)を代入して計算すると、インセンティブ契約における従業員の給料(確実同値額)は、結局下のようになる。

 

 w=α+βe-C(e)-(1/2)rβ^2・Var(x+γy) 。

 

※ここでβ^2はβの二乗である。

 

 wは努力水準eの関数である(つまり従業員の努力いかんによって給料が変化するわけだから)から、これをeで微分すると努力水準と支払われる給料の上昇速度関係がはっきりする。

 

 ∂w/∂e=β-C’(e)。

 

※C’(e)は努力一単位に必要な限界費用になる。

 

 ここでβ-C’(e)>0だと、努力が大きい人はもの凄くたくさん歩合をもらえることになり、小さい努力しかしない人はまるで実入りが増えないことになってしまう。

 

 そして企業は報酬を払いすぎることになる。

 

 逆にβ-C’(e)<0だと、1努力した人は1もらえるが、10努力したひとは7くらいしかもらえない事になる。

 

 そう言うわけだから効率的なインセンティブ契約となるのは、β-C’(e)=0となる場合である。

 

 だからもし企業が従業員の努力水準を引き上げようと思うなら、インセンティブ契約を結んだ上でβを引き上げなければならない。

 

 この式を特に「インセンティブ制約」と呼び、実現可能な雇用契約は必ずこの式を満たさねばならない。

 

「インセンティブ両立的」な契約は「インセンティブ制約」を満たす。


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インフォーマティブ原理

 インセンティブ報酬制度を設計するときに重要なのが、インフォーマティブ原理である。

 

 インフォーマティブ原理を巻末の用語説明で調べると「ある変数の値の観察により、パフォーマンスの測定誤差が減少できるとき、その時に限って支払いはその変数の値に依存すべきである」と書いてある。

 

 これは 要するに「従業員が企業の目的に沿って働いたかどうかということを示すような指標(たとえば売上高)がもし見つかれば、それを給料を支払う一つの材料にせよ。

 

(→従業員の自律的な努力は評価せよ) そしてそうでない指標(たとえば業界全体が潤っているか斜陽化しているとか、会社全体がシステムとしてうまく動いた結果の業績の向上による結果・業績などを示す値)は給料を決めるときのマイナスの指標として除外せよ。

 

(→従業員の努力とは関係のない他律的な要素は排除せよ) そうすれば従業員はインセンティブ強度β値に見合うだけの努力を行うから、その時企業も従業員もちゃんと儲かることになるはずである、、、ということのようです。

 

「働いたヤツにはちゃんと金をやれ。

 

だけど色々な原因で、たまたま会社や業界が儲かっている分は従業員に払うな。

 

それが経営の秘訣だよ!」という感じかな。

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