事業部の分け方
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事業部制を効率的にデザインするためには、次のような要件が必要とされる。
1)各事業部を明確に規定し、必要な情報が報告されるような体系を作り、コーディネーションが上手く機能するように事業部と本部を分けねばならない。
2)適切な行動が促されるように、情報・決定・評価・報酬の体系が構築されなければならない。
3)費用と便益を考慮して、企業が携わる活動範囲を選択せねばならない。
で、事業部制を成功させるためにはまず事業部をどう分割するかという問題にぶち当たる。
分割の方法は色々考えられる。
地域で分ける
賞味期限が短いモノや、地域によってハッキリ売れるモノの傾向が違う場合に有効。
生産技術や製品で分ける
作る物によって原材料や使う機械が異なる場合、当然分ける。
生産技術が共用できる場合は一つにする。
市場セグメントで分ける
男性向け・女性向け・子供向け・年寄り向け・若者向けなどという消費者のセグメントで分ける。
もちろん庶民向け・中流向け・金持ち向け・貧乏人向けなどといったターゲッティングも可能。
事業部の総数を決めて適当に線引きする
単一事業を行っていても事業規模が大きければやはり問題が起こる。
だから、管理可能な大きさに「てきとー」に分ける。
などがある。
もちろん事業部をABCDE・・・と分けても、関連のある事業部をあつめて「○×グループ」とすることもよく行われる。
これは事業部間でコーディネーションを行う頻度が大きい事業部をひとまとめにして管理しようと言うことで、それぞれの事業部の大きさを比較的小さな大きさにするというところが大事なポイントである(ブドウの房型)。
事業部の従業員は事業部長に「報告」を行い、事業部長は自らの属するグループ長に対して「報告」を行う義務を持つが、この形だと関連事業部間の距離が小さくなるのでコーディネーションは最下層の事業部同士だけで行えることになって効率的である。
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本部の役割
事業部制企業における本部の役割は、財務機能や研究機能といったものになる。
顧客サービスを一手に引き受けて販売・流通を一つのトラックで済まそうとする場合には、現場から各事業部に様々な連絡を行わなければならない。
だからそれらの情報を管理し各事業部に連絡するといった機能を本社が受け持つこともある(情報の集中管理)。
また日本企業のように人的資源の管理機能を本社に持たせ、複数の事業部間で人材移動を頻繁に行って人材育成を図るという場合もある(ジョブ・ローテーション)。
さて分権化は末端情報の利用を可能にする一方で、本部の知らない情報に基づいて各事業部が行動するわけだからモラル・ハザード問題の悪化が懸念されることになる。
だからこそ事業部の幹部に対する業績評価とインセンティブ付与が本部の大きな役割となり、事業部制の大きなコストとなる。
幅広い権限を与えられた管理者にはより強力なインセンティブが必要で、それは逆に強い金銭インセンティブを与える事業部長の権限範囲は必然的に大きくなることを意味している。