所有による解決
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ホールドアップ問題とは、相手が身動きできない状態なのを見越して、無理難題を吹きかけてくると言う問題だ。
たとえば年から離れた工場に、鉄道の支線を引き込んで、原材料や部品、完成品などを運び込んだり運ぶ出すと言ったようなケース。
この場合では、支線がつながっている本線の繁盛具合で、支線の利用料金が変わってくる。
すなわち、本線が繁盛しておれば、支線で稼ぐ必要が無いので、割高の料金を鉄道会社が吹っかけて来かねない。
孤立した工場は、支線の使用料金の値上げを飲むか、新たに道路を引いてトラック輸送に切り替えるか、判断を迫られることになる。
この孤立した工場と鉄道の支線の場合のホールドアップ問題で、最も簡単な解決策は「工場による支線の所有」だった。
工場が支線を所有すれば、ホールドアップ問題に怯えることなく工場は最小費用で鉄道を利用できる。
炭坑と発電所の場合であれば、発電所が炭坑を買い取ることで解決が図られる。
いずれの場合においても、ホールドアップ問題がなければ不必要なはずの投資が増えるわけである。
がしかし、一般的に「資産がある用途に対して特殊的である場合、その資産のホールドアップ問題は、利用者によるその資産の所有という形で回避できる」ということになる。
ただ現実は、それほど簡単ではない。
なぜならこのモデルの場合でも、鉄道の支線は本線とつながっていなければ用をなさず、支線だけを工場が所有しても本線との接続の条件(制限)や利用料などの問題でまた交渉が必要となってくるからである。
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リースか所有か
もし将来的に起こるであろう様々な自体が予測可能であるなら、ホールドアップ問題を解決するために特殊的な資産を所有するのではなく、「リース契約」を結ぶという解決策も有効になるかもしれない。
たとえば同じ様な例として、一年性の農作物を作る農家に、土地を貸すという例が挙げられる。
一年性の農作物であれば、土地に対する農民の投資は一年後に回収できる見込みにおいての投資であり、特殊性を持つ。
一年後に農作物を収穫したあとに土地を地主に返さねばならないとしても、農民の投資は抑制されないだろう。
というのも一年後の収穫のためにだけ必要な特殊性を持つ投資であるからだ。
だから地主は土地資産を保持し、農家は農地を買い取る必要はなくなる。
この場合は、リース契約の方が有利で、そう言う契約の形になるだろう。
だが土地利用が果樹園など何年モノ長期投資が必要な場合ならば、土地と果樹は切り離すことと価値を大きく減らす。
なのでこのタイプの投資は、ホールドアップ問題に直面することになる。
桃栗三年・柿八年などというが、桃や栗の木を植えて三年後地主から賃料の法外な値上げを要求されれば大損である。
だからこの場合はリース契約ではなく、土地を買い取る方向で取引がなされる事になろう。
もちろん所有したからと言って、何年後かに政治の政策が変わったり倫理的な問題が発生したりで当初の利益を上げることができるとは限らないわけであるが。
今週の・・・
仏教で言う「万物相依性(そういしょう)」(すべてのモノは関連して存在している)という感じですかね、、、