漁業権は、共同所有されるので、調整が難しい。
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漁業権とは、その漁場で魚を捕っても良いという権利だ。
魚を捕っても良い権利といっても取って良い量は決められている。
というのも漁業権とは、漁業資源を取りすぎず、漁業資源を維持するために必要な取り決めであって、権利者が乱獲しないという前提で成り立っている。
ただ、現在の資源状況をどう判断し、将来の漁獲量をどう推定して決めるかは、ハッキリとしたデータでは示しにくい。
だからそれぞれが自分の事情と照らし合わせて勝手な事を言うので、これをまとめるのも大仕事である。
なので漁業権の設定は、確かに資源保全のインセンティブを創り出すが、必ずしもそれが効率性を高めるとは限らない。
漁業権は、共同所有される者だから、メンバー内での調整が難しいし、それで非効率が生まれることもあるのだ。
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単独所有とインセンティブ
漁業権は、特定のグループに所有権を割り当てるという形で資源保全のインセンティブを創り出すという方法であったが、資源や財を保全する場合に最も強いインセンティブを与えるのは「単独所有」である。
普通の財に関して「単独所有」は非常に上手くいっている。
だから、今度はこれを漁業権に応用することを少し考えてみる。
漁業権を一人の人間に割り当てるとした場合、その人間は確かに資源保全に大して強いインセンティブを与えられるだろう。
漁業権をオークションにかけ、最も高い価格をつけたものに与えれば、漁業資源を最も高く評価しているモノがそれを落札し、当然資源配分を最適化して操業することだろう。
だがしかし、漁業資源に関しても「私的情報」は存在する。
つまり現在の資源量や将来の資源量がハッキリ推定できないと、手に入れた漁業権を使って乱獲した後、その権利を「まだ獲れる」と見せかけて他の誰かに譲渡するということも可能だから、結局非効率な資源配分をしてしまうということもよくある。