特別なインセンティブ
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日本では転職機会が少なく、成功している管理者はたいていその企業でずっと仕事をしている者が多い。
日本の企業の基本給は、アメリカやヨーロッパの企業ほど仕事による差がない。
このことによって日本企業の管理職は、リスキーな投資をするリスクを軽減されている。
つまり日本の企業では外部から管理職だけを雇用すると言うことが少ないために管理職になる人材が限られていて、少々の失敗は問題にされないのだ、、、ということである。
そして重要な決定事項に関しては周囲のコンセンサス(合意)を得るという慣習が徹底している。
だから、その仕事に関する責任分担が広くなり個人の責任がその分軽くなっている。
だからそういう環境では、リスクのある事業を促進するのに何らかの特別なインセンティブ制度も必要としないわけである。
だがしかし欧米の企業ではそう言うわけには行かない。
何とか管理者に将来有望だがリスクのある投資決定を行わせるために、特別なインセンティブを与えなければならない。
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特別なインセンティブ制度
企業が管理職に対し何とかリスクを恐れず挑戦をさせるには結局、「失敗時のリスク負担を減らし、成功報酬を高める」ということしかない。
日本企業では若い頃に挑戦的な投資決定を行い企業に大きく貢献した者が大出世すると言うことが多い。
そういうシステムを別の形で考えるべきであろう。
その方法の一つとして「ストック・オプション制度」がある。
ストック・オプションは報酬としてその企業の株式を与えるという報酬形態で、株式は退職時などに手渡される場合が多い。
企業に大いに貢献し株価を高めれば退職時に多くの報酬を受け取ることができるが、そうでなければ報酬を受け取ることができない。
これは成功時に大きな利益が保証され、失敗に対するリスク負担をなくすことができる。
だから、リスク回避的な管理者をリスクを冒そうとしなくなる傾向と相殺できうる。
また投資決定を「投資提案」と「投資決定」に分け、投資提案を行うこと自体に報酬を与えて投資の結果については責任を負わせないという方法も考えられる。
たとえば「プランを立てプレゼンテーションを行う者」と「そのプレゼンテーションを受けて決定する者」とに分けて、それぞれに成功報酬を与えることにする。
つまり前者はプランが採用されれば成功とし、成功報酬を受け取るという制度にし、後者は実行後の業績を成功とする。
そうすると、プレゼンテーションをする者にはたとえリスクがとんでもなく高いプランでも採用されるように努力するインセンティブが生じ、その結果企業の投資はリスクの高い投資側に誘導されるというわけである。