文明が進むにつれて我々は分業によって社会を支えるようになった。分業化された仕事を専門的に請け負うことによって、各自が自分に必要な財やサービスを一から作る場合より、はるかに多くの財やサービスを作りだし、手にできるようになった。 だがしかし、分業化され専業化が進みすぎたため、全体をコーディネートすることがとんでもなく煩雑で大がかりになってしまった。 しかし自由主義社会に置いては、共産主義国のように中央...
市場と組織記事一覧
前回の続きですが、この章の視点についての説明の部分が抜けていました。よむのでRから転載しておきます。「文明が進むにつれて我々は分業によって社会を支えるようになった。分業化された仕事を専門的に請け負うことによって、各自が自分に必要な財やサービスを一から作る場合より、はるかに多くの財やサービスを作りだし、手にできるようになった。 だがしかし、分業化され専業化が進みすぎたため、全体をコーディネートする...
Pを全ての財やサービスの価格リスト(ベクトル) Bを全ての財やサービスに対する個人の購入リスト(ベクトル) Sを全ての財やサービスの個人の販売リスト(ベクトル) Iを全ての財やサービスの企業の投入リスト(ベクトル) Oを全ての財やサービスの企業の産出リスト(ベクトル)とする。 このときもし{P,B,S,I,O}が競争均衡における価格リストと計画(個人の販売・購入計画&企業の投入・生産計画)であれ...
前回は市場における「均衡価格」が、資源の最適配分を行うという話でしたが、これは中央集権的な計画経済に対する市場経済の優位性を説明しているだけ、、、とお考え下さい。 「組織の経済学」では市場取引と非市場取引のどちらが優れているかという事を論じているわけではなく、どういう場合に市場を通した取引が行われ、またどう言うときに非市場取引が選択されているか?ということを考えているだけです。価格システム 価格...
かつての社会主義・共産主義国の政府がとったような中央集権的な計画経済より、市場機能を重視した自由主義経済の方が効率的であるのは事実のようである。 というのも社会主義・共産主義の国々は軒並み貧乏になったが、一部に自由市場エリアを儲けただけで中国の「万元戸」のような裕福な家がぞくぞく誕生したからである(つまり効率的であれば国民の何割かの人間が確かに豊かになれる素地がちゃんとあったのだ)。 だがしかし...
以下の問題が生じるとき、厚生経済学の基本定理は成り立たず、「市場の失敗」が起こる。(1)市場支配力のある経済主体の存在(独占・寡占など)による、失敗(非効率)(2)規模にかんする収穫逓増(生産の不連続性)による失敗(非効率)(3)経済外部性(イクスタナリティ)による失敗(非効率)(4)サーチング・マッチングなどによって生じる分権的市場価格による失敗(非効率) 因みに市場の失敗とは、市場による均衡...
「市場の失敗」とは市場によって決定される財やサービスの価格が、資源の効率的な配分を実現せず、経済全体の総価値(総効用)を最大化(パレトー最適化)させないような状態のことであった。 そして「市場の失敗」が起こるのは、1)市場支配力を行使する勢力がある場合。2)規模にかんする収穫逓増がある場合。3)外部性や市場の欠落がある場合。4)サーチングやマッチング、或いはコーディネーションに費用が かかるために...
事業部と事業部の経営責任者の業績は、財務データによって測られる。 事業部の費用・収入・利潤・投資の成果などが計算され、それが以降の予算配分や人員配置の変更(昇進・降格・罷免)などに影響する。 もちろん事業部が最小の評価集団ではない。事業部の下にも小さな責任センターがあり、各部署や部署長の業績も同じように測られる。 だが事業を市場で行っている場合ならともかく、組織内の各部門の業績を財務データで測る...
多くの大組織は、その内部でコーディネーションや動機付けのための手段として、価格システムを広く利用している。 これらの組織では、関連情報を多く持つ実際に事業活動を行っている部門に意志決定の責任を委ねることで、重要な意志決定を行う者が適切なインセンティブを持ち、互いに整合的で首尾一貫した計画が実現することを保証することがきわめて重要になる。 上級管理職は、財務管理や業績評価によって、或いは組織内部の移...
ここでは、原則的には価格システムが利用可能で厚生経済学の基本定理が妥当するにもかかわらず、コーディネーションのために他のメカニズムが用いられている状況に焦点をあてる。 我々が扱うコーディネーション問題とは、「資源配分問題(リソース・アロケーション・プロブレム)」である。 資源配分問題とは、一定の資源を様々な用途に配分する問題である。 あらゆる経済的及び業務上の重要な問題は、資源という言葉をできる...
経済的な資源配分問題において、価格システムがうまく機能しない場合について前回三つの「属性」を紹介した。 その三つとは、「シンクロナイズ問題(デザイン属性1)」「割り当て問題(デザイン属性2)」「イノベーション属性」であった。 これらの属性が生じるのは、その配分問題が、「厳密なコーディネーションが必要で、わずかな仕事のズレも許されない場合」「急を要し、判断する時間が殆どない場合」「現在組織内にある...
意思決定を行う上で、情報の収集・整理・蓄積・分析、そして伝達に必要なコストは、非常に重要な要素である。 誤った情報を元に判断したり、誤ったシナリオによって立てられた生産計画が大きな損失を生み出す、、、と言うことは前回も述べたが、伝達に必要なコストの大小も生産計画策定に大きな影響を及ぼす。 たとえば企業・組織、或いは経済全体にN個の生産単位があるとする。 これをもし一つの中央当局の計画によって上手...
情報効率性定理(復習) ハーヴィッツの情報効率性定理は、デザイン属性を含む問題を除外している、、、というか、前提条件として「各生産単位も各消費者も、自分の情報しか持ち合わせていない」と言う状態から考え、先験的な最適解や情報がない状態から、「あと最低限いくつ情報があれば、経済効率が最適できうるか」という問題を考えていたわけである。 そしてその結果として、「その経済内に存在する財やサービスについての「...
「規模の経済性がある場合、価格だけでは適正な生産水準を決めることができない」(市場の失敗の一つ)。 だから事業規模自体、一つのデザイン変数である。(デザイン変数とは、要するに生産組織の形態を決定するために考慮しなければならない要因の一つということかな?) つまり企業は予測される販売量(要するにこれくらい売れるだろうという目論見量)に応じて生産の事業規模を決定し、そのために様々な資本財を揃えるわけ...
三つの経済性(復習) 企業の事業戦略として「経済性(コスト逓減)」がある。「経済性」には1)「規模の経済性」 大量生産・大量流通・大量販売など、大規模に事業を展開することによって限界費用を逓減することができる(もちろんある範囲の間においてであるが)。これを「規模の経済性」という。2)「範囲の経済性」 ある特定の商品のために特化された部品では規模の経済性は見込めない、、、つまりそこまでその商品はたく...