長期的な生産量(総供給)

更新日:

 

 生産量は、資本(機械や材料)と労働の存在量および利用可能な
技術の水準によって決定される。

 

 古典派モデルの仮定によると
「生産量は物価水準に左右されず、物価がどうであろうとも生産高
は変わらない」
ということであるので、総供給曲線(AS)は下図のように垂直に立
つことになる。

 

 P(物価水準)
  ↑      LRAS 
 |       |
  |       |
 |       |
  |       |
 |       |
  |       |
 |       | 
 |       | 
0 ―――――――――――――――→Y(産出、所得)

 

 物価水準によって左右されない生産量とは、資本(生産設備)や
労働力が100%利用された状態での生産量であるから、特に
「完全雇用生産量」と呼ばれる。

 

 もちろん失業の話のところで学んだ通り、経済社会では自然状態
でも「サーチング/マッチング時間(離職した求職者が新しい職を
探したり、求職者とその要望に合致した雇い主と出会うまでの時間
的なズレ)」が生じ、その間は失業状態とカウントされることにな
るので、完全雇用時における生産量に替えて自然雇用率での生産量、
すなわち「自然率生産量」を考える場合もある。

 

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■短期的な生産量(総供給)
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 長期的視点と短期的視点の違いは、長期的視点では価格が伸縮的
であるのに対し、短期的視点では価格が硬直的であると考えること
にある。

 

 短期的に財やサービスの需要が減っても、売り手はなかなか気づ
かない。

 

「たまたま何かのせいでモノが売れなくなっただけだろう」
などと考え、切り株にまたウサギが頭をぶつけてくれないかなあ、、
などとその財やサービスがよく売れていた時期の再来を待つ。

 

 その結果、価格はなかなか下がらない(硬直的)。

 

 極端な場合はモノがまるで売れていなくても、
「投資を回収しなければならないから、、」
と同じ価格設定のままで商売を続けるような会社も多い。

 

 ただモノが売れなければ在庫が減らないから、生産は止まる。

 

 つまり短期的には「物価水準は固定的で、生産量が伸縮的」にな
るわけである。

 

 短期的な総供給曲線(SRAS)は下図のようにフラット(水平)に
なる。

 

 P(物価水準)
  ↑     
 |  
  |   
 |   
  | ――――――――――SRAS
 |           
  |      
 |      
 |       
0 ――――――――――――→Y(産出、所得)

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短期と長期の接点

 

 短期のグラフと長期のグラフを重ねると、必ず交点ができる。
 短期的な変動が小さいとき、需要曲線Dはこの交点を通過するこ
とになる。
 P(物価水準)
  ↑      LRAS
 |   \  |
  |    \ |
 |     \|
  |――――――\―――――SRAS
 |      |\
  |      | \
 |      |  \
 |      |   AD(総需要)
0 ―――――――――――――――→Y(産出、所得)

 

 

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■四つの総供給モデル
----------

 

 さてここまでが復習だが、ここで

 

 Y:生産量Y^:生産量の自然率
 P:価格水準Pe :期待価格水準

 

としたときに、総供給モデルは
 Y=Y^+α(P-Pe)  α>0
となる。

 

物価水準P
 ↑
 |        / Y=Y^+α(P-Pe)
 |       /
 |      /
 |     /
 |    /
 |   /
 |    
  ―――――――――――Y(所得・総生産)

 

 この式の根拠には四つのモデルが考案されていて、それは

 

1)硬直的賃金モデル
2)労働者錯誤モデル
3)不完全情報モデル
4)硬直的価格モデル

 

の四つである。

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