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大国開放経済の投資と貯蓄

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 小国開放経済におけるIS-LM分析の数式は
IS曲線: Y=C(Y-T) + I(r) + G + NX(e)
LM曲線: M/P=L(r、Y)
利子率: r= r* (世界利子率)
であった。

 

 それでは大国開放経済における短期モデルはどうなるか?

 

 大国開放経済とは、世界の利子率に影響を与えるような規模の経
済であり、また世界の利子率の影響を受ける経済でもある。

 

 大国開放経済では、外国からの資金流入や自国からの資金流出が
経済に大きなインパクトを与える。

 

 資金が自由に国内外を行き来する経済では、利子率rと為替レー
トが大きな鍵になる。

 

 国内の利子率rが外国の利子率より高ければ、資金は流出せずに
国内に投資され、また外国からの投資も流入する。

 

 一方国内の利子率rより外国の利子率が高ければ、資金は外国に
流出し、国内には投資されなくなっていく。

 

 外国に流出する投資をNFIとすると、NFIは明らかに国内利子率r
の関数であろう。

 

 国内利子率rが外国の利子率より大きければ対外純投資NFIはマ
イナスになり、逆にrが外国の利子率より小さければNFIはプラス
になる。

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 さて閉じた経済において、国内の投資I=貯蓄Sであった。

 

 閉じた経済では対外投資をすることができないわけであるから、
こういう等式になるが、海外への投資が可能であれば、

 

 I+NFI=S 

 

と言うことになるだろう。

 

 この頃は日本でもドル建て貯金やユーロ建て貯金などと言った
外貨預金を行う人が増えてきたが、貯蓄を国内で運用するか外国
で運用するか、あるいは分けてそれを行うか、と言うことをする
のと同じである。

 

 これらはもちろん国内利子率rに影響を受けるわけだから、

 

 I(r)+NFI(r)=S

 

である。

 

 rが外国より高ければ国内投資I(r)が増え、対外投資NFI(r)
が減る。逆に国内利子率rが外国より低ければ、対外投資NFIが
増えて国内投資Iが減る、、、というわけである。

 

 さてここで、国民所得勘定の恒等式を思い出してみる。

 

 閉じた経済であると、外国との貿易も資金の出入りもないから、
 Y = C + I + G
で、貯蓄S-国内投資I=0である。

 

 外国に財やサービスを輸出すると、その分国内の貯蓄Sは増え
るわけだから、
 S-I=純輸出NX
である。

 

 純輸出は為替レートeの影響を受けるからNX(e)という関数
で、I(r)+NFI(r)=S にこれを代入すると、

 

 NFI(r)= NX(e)

 

ということがわかる。

 

 つまり、

 

 IS曲線: Y=C(Y-T) + I(r) + G + NX(e)
 LM曲線: M/P=L(r、Y)
       NFI(r)= NX(e)

 

である。

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