フィリップ曲線
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「貨幣はなぜ価値を減らしていくのか?」
ロバート・ソローは1970年の高インフレについて述べた。
「それは我々がインフレーションを予想する結果インフレーション
が生じ、インフレーションが生じたから次もまたインフレーション
が起こると思うからである」
人々がインフレを予想し、そしてその結果インフレが起こる。
インフレが起こるから、人々はまたインフレが起こるだろうと考
えて行動する。インフレーションは、そういう「慣性」を持つ。
だがしかし、インフレ率に影響を及ぼすのはそれだけではない。
たとえばオイルショック。
石油産出国が一斉に石油価格を四倍に値上げしたら、世界中がえ
らいインフレになった。
トイレットペーパーは店頭から姿を消すし、砂糖やカップラーメ
ンも値上がりするし、、、
アメリカの物価もオイル・ショックによって上がり、インフレ率
を10%以上押し上げた。
そういう供給側のショック(サプライ・ショック)もインフレ率
に大きな影響を及ぼす。
だからインフレ率をπ(パイ)とし、予想されるインフレ率をπe、
サプライショックをε(イプシロン)とすると、
π = πe + ε
となる。
もちろんεは、正の値をとる場合と負の値をとる場合がある。
オイルショック後、石油の過剰生産によって石油が暴落したが、
このときインフレ率も大幅に下がった。ε<0だったからである。
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失業率とインフレ率
失業率とインフレ率は、短期的にはトレード・オフ(片方が上が
ればもう一方が必ず下がる)の関係にある。
つまりインフレ率πが低いと失業率Uは高くなり、インフレ率π
が高いと失業率Uは低くなる。
このカラクリは、この前述べた。
インフレによって貨幣の名目的価値が下がり、労働者の実質賃金
率が下がる。
企業は実質賃金が下がると同じ名目賃金でも労働者をたくさん雇
えるようになるから、その分生産が増える。つまり、
「インフレ → 実質賃金の低下 → 失業率の低下」
ということである。
逆にデフレだと、
「デフレ → 実質賃金の上昇 → 失業率の上昇」
となる。
でここで自然状態の失業率をUn、現実の失業率をUとすると、
β(U-Un)がインフレ率とトレード・オフの関係になり、イン
フレ率πはここで
π = πe - β(U-Un)+ ε (β>0)
と表されることになる。
この式を「フィリップ曲線」と呼ぶ。
インフレ率π
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0 ―――――――――――→ 失業率U
フィリップ曲線は、総供給曲線 Y=Y^+α(P-Pe) と同値
である。