総供給曲線とフィリップ曲線
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■フィリップ曲線(復習)
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インフレ率をπ、予期されるインフレ率をπe、失業率をU、自然
失業率をUn、サプライ・ショックをε、パラメータをβとすると、
π = πe - β(U-Un)+ ε (β>0)
である。この式を「フィリップ曲線」と呼ぶ。
インフレ率π
↑
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0 ―――――――――――→ 失業率U
フィリップ曲線は、総供給曲線 Y=Y^+α(P-Pe) と同値
である。
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■総供給曲線とフィリップ曲線
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総供給曲線 Y=Y^+α(P-Pe) を変形して、フィリップ曲
線を導いてみる。
Yは総供給、Y^は自然状態での総供給、Pは物価水準、Peは予
期される物価水準、αはパラメータであるから、まず総供給曲線
を変形すると
P =(1/α)(Y-Y^) + Pe
である。
この両辺から一年前の物価水準P’を引くと
P-P’=(1/α)(Y-Y^) + Pe-P’
となるが、P-P’はインフレ率π、Pe-P’は予期されるインフ
レ率πeである。
そしてモノがたくさん生産される時には労働量がたくさんいるし、
あまり生産されない時には労働量は減るから、総供給量は労働量と
比例するので、(1/α)(Y-Y^)はU-Unにパラメータβを掛ける
ことによって置き換えが可能である。
この結果、総供給曲線はフィリップ曲線
π = πe - β(U-Un)
と変形することが可能になる。
ここにオイルショックで得られたサプライショックの含意の項ε
を加えると、最初の式になる。
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ディス・インフレと犠牲率
政府はインフレを抑えるような政策をよく行う。
だがしかし前回で明らかになったように、インフレ率πと失業率
Uは短期的トレード・オフの関係にある。
つまりインフレ率を抑えると、総生産Yが下がり、そしてその分
失業率は上がるのだ。
ではインフレを1%引き下げるために、どれだけ実質GDPを失
わねばならないのだろうか?
この率を特に「犠牲率」と言うが、標準的には約5%であるとさ
れている。
そしてインフレを1%引き下げる替わりに上昇してしまう失業率
は、約2.5%である。