労働組合の活動と失業率
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■待機失業(復習)
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社会や経済が変化したり変動することによって、労働に対する需
要・供給が変化する。
それによって失業者が新しい仕事を探して雇用契約を結ぶ(マッ
チング)のに時間がかかることを「摩擦的失業」という。
一方賃金の硬直化も失業の原因となる。
賃金は上げやすく、下げにくい。
だから労働市場の需給バランスによって定まる実質賃金の均衡水
準より、労働者に支払われる賃金は幾分高くなってしまう。
このような現象を「実質賃金の(下方)硬直化」という。
賃金が余分に高くなれば、その分雇用される労働者の人数は減る。
このような失業を「待機失業」という。
労働者は賃金の均衡水準が低くなっても、高く雇ってもらえる時
期を「待機」しているのである。
実質賃金
↑
| \ |労働供給
| \ |
| \ |
p'|……………\ |
| |\ |
| | \|
p*|……………………|
| | |\
| | | \
0――――――――――――――→
←――――→←―→ 労働
雇用数 失業数
※均衡賃金P*なら全員雇用されるが、硬直性賃金水準だと失業が
起こる。
待機失業の原因となる賃金の硬直化の原因は、
1)最低賃金法による下支え
2)労働組合による独占力
3)効率性賃金
である。
1)と3)については前回触れた。今回は2)についてである。
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労働組合運動と失業率
たいていの経営者は労働組合の活動を好まない。
というのも労働組合員の賃金は労働市場の水準とは関係なく、労
組と経営者の団体交渉で決定されるが、賃金交渉以外の条件につい
ても譲歩しなければならないからである。
団体交渉の議題は労働時間や労働者の労働環境、そして会社にと
ってはなんの役にも立たないような生産性の低い労働者の雇用保障
にまで及ぶ。
それでは限界労働生産性は低くなってしまい、商品の市場での競
争力が落ちてしまうので、労働組合運動を嫌う経営者は労働者が組
合運動に力を入れるインセンティブを削ぐために、高めの賃金を支
払うことになる。
つまり労働組合の交渉力が高い経済では、
1)労働組合の交渉力が強い企業の労働者の賃金は高めになる
2)そうでない企業の賃金も、高めになる
ということが起こり、これによって実質賃金が硬直化して失業が増
えてしまうのである。
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※ もちろん1)と2)は同じではない。
2)による賃金支払いは、生産性の高い労働者(つまり出来るヤ
ツ)には十分な高賃金、そうでない労働者にもそこそこいい賃金、
というような支払方法(たとえばインセンティブ契約)であるが、
1)の場合は仕事ができるできないとは関係ない横並びの賃金支払
いになりやすい。
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アメリカ合衆国各州のデータは、この説を裏付ける。
というのも労組組織率(=組合員数/雇用数)の高い州ほど、失業
率が高いのである(もちろん失業率が高いから組織率が高まるとい
うこともあろうが)。
1985年のデータでは、労組組織率が10%上昇すると失業率が1.2%ほ
ど引き上がる、、、という計算が出ている。