硬直賃金モデル(復習)
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総供給の第一のモデルは「スティッキー・ウエッジ(硬直賃金)
モデル」であった。
スティッキー・ウエッジ・モデルは、賃金が名目価格で支払われ
て次の「給金直し」まで硬直的であることに着目するモデルであっ
た。
賃金が名目的に硬直的であれば、インフレによって実質賃金の低
下が起こったばあいに「企業はより多くの労働者を雇うことができ
る」。
多くの労働者を雇うことができれば、生産関数Y=F(K、L)に
より総供給Yが増大する。
これによって
Y=Y^+α(P-Pe) α>0
という式が導かれる。
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労働者錯誤モデル
総供給の第二のモデルは「労働者錯誤モデル」である。
労働者錯誤モデルでは、労働者が「実質賃金」と「名目賃金」を
ごっちゃにして考える、、、という仮定をおく。
もちろんインフレがひどくて一年間に五割もインフレが起これば、
実質賃金と名目賃金のズレは誰の目にも明らかだから、これらをご
っちゃにして考えるのは「一時的に」である。
さて前回も述べたように、労働者の需要量Ldは質賃金W/Pに依
存する。
W/Pが大きければ労働者を多く雇うことができないから需要量
は減る。逆にW/Pが小さければたくさん雇うことができる。
すなわちLdはW/Pと逆相関関係にあることになる。
∴ Ld=L(W/P)
一方労働供給Lsの方は、名目賃金Wによって決まる。
もちろん物価水準が大きく変動している場合は「実質賃金らしき
名目賃金W/Pe」に依存する。
W/Peが高ければ働きたいと思う労働者は多いし、逆にW/Peが
低ければ、働きたくない労働者が増える。
つまりLsはW/Peに対して順相関関係にある。
∴ Ls=L(W/Pe)
ただこのモデルのミソは、労働者が実質賃金ではなく、
「期待する物価水準Pe」
を基準とした賃金によって自らの行動を決定する、、ということで
ある。
そしてもし労働者が物価水準PとPeとの間に大きな開きが出たに
も関わらず「それに気づかない」としたら、どうなるか?
もし物価水準Pが上昇しているせいで名目賃金Wが上昇したにも
関わらず労働者がそれに気づかないとしたら、、、、
→ Ls曲線は右にシフトし、労働供給量Lsは増える!
W/P
↑ →
| \ \ /Ls
| \ \ /
| \ \/
| \/\
| /\ \
| / \ \
| Ld → Ld’
0 ―――――――――――L(労働)
この結果、生産量が増大する、、というのが「労働者錯誤モデル」
である。
生産は価格(物価水準)Pが期待水準Peから乖離すると、自然率
より乖離する。
この労働者錯誤モデルは、ミルトン=フリードマンのモデルである。