消費者の選好と借り入れ制約(復習)
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前期にC1、後期にC2だけの消費を行った場合の「効用(ユー
ティリティ)」について考える。
効用Uというのは要するに「満足度」であるが、これは前期の消
費C1の効用関数であるU(C1)と後期の消費C2の効用関数であるU(C2)
との合計になる。
∴ U = U(C1) + U(C2)
この効用曲線は「無差別曲線」の集合となる。
人々はこの「人生の効用」を大きくする方向で消費を行うモノと
仮定すると、効用曲線上の点で
∂(C2)
――――― = 1+r
∂(C1)
を満たすような(C1、C2)の組み合わせを選ぶことになる。
だが上の予算制約式は、人生において得られる収入を全てある時
点で消費できるという前提の下の話であって、その時点で最適の配
分(C1、C2)にできるような収入を「借り入れる」ことができると
は限らない。
この場合、人生の効用は理論上の最大値より低い効用とならざる
を得ない。これを「借り入れ制約」と呼ぶ。
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所得の変化と消費
さて人々が予想している人生の総収入が、実際は思ったより多か
った場合、消費はどうなるか?
もしその人が消費している財やサービスが、消費の増加にともな
って多く消費されるような「ふつうの財(正常財)」であると仮定
すれば、当然消費は増えることになる。
フィッシャーの異時点の予算制約モデルで考えると、予算制約の
線が外側にシフトすることになるから、人々はより満足度の高い効
用曲線を無差別曲線の中から選んで消費の配分(C1、C2)を行うこ
とになる。
これは所得の現在価値
Y1 + Y2/(1+r)
によって消費配分が決定され、現在の所得Y1が増えても、将来の所
得Y2が増えそうだという見込みになった場合も、消費が増えるとい
うことを意味する。
ケインズの消費関数はあくまで「現在所得」のみを変数とする関
数であるが、フィッシャーの場合は「生涯所得」つまり「現在所得」
と「将来の所得見込み」によって現在の消費が決まる、、、という
ことである。