拡張的財政政策
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さて例によって、政策と経済の関係について考える。
もう三度目くらいだから、みなさん先刻ご承知でしょうが、政府
購入Gを増やしたり税金Tを減らしたり(減税)した場合の影響で
ある。
政府が政府購入Gを増やしたり減税を行ったりする(これを拡張
的財政政策というらしい)と、国民貯蓄Sが減る。
国民貯蓄SというのはS=Y-C-Gだから、Gが増えると国民
貯蓄Sは減る。
また消費Cに関しても、減税によって可処分所得が増えるから、
(∵C=C(Y-T))Cが大きくなってやっぱりSは減る。
Sが減ると今度はどうなるか?
ここでS-I=NXだからNXがマイナスになる、、というのは
小国開放経済の場合の説明だったが、これは利子率が世界利子率r*
で固定されている上の話。
大国開放経済では利子率rにまず影響が出る。すなわち
図:IS-rモデル
r(利子率)
↑ S'← S
| \ | |
| \| |
r' |----------\ |
↑ | |\ |
| | \|
r |----------|----\
| | |\ I(r)+NFI(r)
| | | \
0 ―――――――――――――――→I+NFI
ということで、利子率rがr'に上昇する。
利子率がr'に上昇すると、投資I+NFIは減る。
NFIが減ると、外国の通貨と交換される国内通貨の供給量は減
るから、通貨の価値が上がり輸出は減る。
つまり大国開放経済では S=I(r)+NFI(r) となる点にr
が決まり、S-I=NFIからNX(ε)=NFI(r) となる点に
実質為替レートεが決まる。その結果としてNXの増減が出る。
、、、という経路を通る事になる。
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おさらい。
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■国民所得勘定など(おさらい)
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Y=C+I+G+NX
国内の実質利子率:r
世界の実質利子率:r*
実質為替レート:ε(イプシロン)
純輸出:NX(ネット・エクスポート)
対外純投資NFI
国民貯蓄:S=Y-C-G
よってNX=S-I
実質為替レートεが上がると、海外の財やサービスが安くなるの
で輸入が増える(純輸出NXが減る)のでNXとεは逆相関。
大国開放経済の拡張的財政政策(政府購入Gの増加or減税)は、
「閉鎖経済と同様に利子率を引き上げ、投資をクラウド・アウト
(押し出し)させ」
「小国開放経済と同様に、貿易を赤字化させ為替レートを上げる」
ということになる。
ただし、大国開放経済では国民貯蓄Sが大きく減っても、他の経
済よりIが減ったり赤字が増えたりする度合いは小さくなる。