GDP、CPI、失業率
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マクロ経済学を学ぶに当たり、まず覚えておかねばならない三種
類の統計がある。それは何かというと、GDP、CPI、失業率の
三つである。
GDPとは国内(地域内)に住む人々全ての所得(収入)の合計
のことであり、国内(地域内)で生産された財やサービスに対する
総支出額(代金の総額)のことである。そしてGDPはその地域に
おける一年間の「フロー」を確定したものである。
GDPの計算は、各企業・組織ごとの付加価値の合計として行わ
れる。つまりGDP=Σ{(売却価格 - 中間財価格)×売れた数}i
である。ただしGDPは実際に取り引きされて発生した付加価値だ
けを対象としているわけではない。自宅に住んでいても、市場価格
を参考にして家賃がフローとしてGDPに算入されたりする。
実際にお金が動いていないのに推定して算入するこういう価値を
「イムピュート・バリュー」という(日本語では「帰属価値」)。
すなわち自宅に住んでいても住宅サービスは発生しているという
理屈らしい。同様に公務員の行政サービスも公務員の給料を参考に
算入されている。
ただこのような価値が全てGDPに算入されているかと言えば、
そうでもない。たとえばどんな旨い豪華な食事を作っても、自家消
費のための生産による付加価値はGDPに算入されない。
最後にアンダーグラウンドで生産される財やサービスももちろん
GDPには算入されない。人殺しサービスや脱税サービスは算入さ
れない。
GDPは経済の指標として大きな意味をもつ指標である。
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名目GDPと実質GDP
GDPは最終消費財(或いはサービス)の価格×売れた個数の合
計で計算される。ただしこれではインフレの影響を受けることにな
り、毎年の実質的な経済成長を考える場合問題が起こる。
たとえば南アメリカの某国のように、年率1,000%もの猛烈なイン
フレがあれば、一年後のGDPは一気に十倍以上になる計算になる。
もちろん一年間で経済が十倍になるなんて事は考えにくい。なぜ
ならそれは全ての財やサービスの取引量が一気に十倍になっている
という事であるから。
つまりこの場合は
{GDP}=Σ{財やサービスの価格}×{取引量}
のうち取引量が十倍になったわけではなく、財やサービスの価格が
十倍になっただけなのだ。
このような単純な{価格}×{個数}の総和で計算したGDPを
「ノミナル(名目)GDP」と呼ぶ。
それに対してモノの値段を基準年に換算して計算したGDPを
「リアル(実質)GDP」と呼ぶ。
たとえばノミナルなGDPでは
{2000年のGDP}=Σ{2000年の財やサービスの価格}
×{2000年の取引量}
となるが、リアルなGDPでは、
{2000年のGDP}=Σ{1990年の財やサービスの価格}
×{2000年の取引量}
となる(※西暦1990年基準)。
経済厚生(経済的な満足度)を示す値としてはリアルなGDPの
方が優れている。