投資需要の変化
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さてでは投資需要の変化の原因と影響は何だろうか?
投資需要の変化、すなわち「投資が増えるかも知れない」理由の
ひとつが「技術上のイノベーション(技術革新)」である。
たとえばパソコンというものが発明されたなら、企業や家計はパ
ソコンを利用する前に投資財を購入しなければならない。
また政府の税制も投資需要を変化させる。
たとえば政府が個人所得税を増やし、増収分を新しく資本に投資
する人への減税に使うとしよう。
このような税制の変化は投資計画をより収益性の高いモノとする
ため、イノベーションの時と同様に投資財需要を増加させる。
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■投資需要の変化と利子率
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貯蓄Sが利子率rに影響を受けないものとの仮定の下で、投資需
要の変化は「利子率を上下させるに止まる」。
すなわち何か新しい技術が開発され大規模なイノベーションが起
こる場合でも、供給できる資金量がSで固定されていると、投資需
要がいくら増えても資金が供給されないから、利子率が上がるだけ
になるのである。
r(利子率)
↑ S(一定)
| \ →\ |
| \ \ |
| \ \|
r'|--------\----\
↑ | \ |\
| \| \
r|--------------\ \I'=I(r)
| |\I=I(r)
0 ―――――――――――――――→I、S(投資;貯蓄)
S(投資)
もちろん実際には利子率が上がると銀行に貯金する人が増えるだ
ろうから、その場合は投資にまわる資金量は増える。つまり貯蓄S
がS=S(r)という関数でrに対して順相関(つまりrが増えると
Sも増えるという関係)であれば、貯蓄と投資は増える。
r(利子率)
↑
| \ → \ /S=S(r)
| \ \ /
r'| \ \/
| \ /\
↑| \/ \
r| /\ \
| / \ \I'=I(r)
| I=I(r)
0 ―――――――――――――――→I、S(投資;貯蓄)
S → S'
もちろんこの場合、消費Cは減ることになるが。
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第三章のまとめ
1.
生産要素(つまり資本Kと労働力L)と生産技術(つまり生産関
数F(K、L))が経済全体の財やサービスの総産出量を決める。
すなわち生産要素が増えたり生産技術が進歩しない限り、総生産
は増えない。
2.
競争的利潤最大化企業は、労働力を労働の限界生産力MPLが実
質賃金率W/Pと等しくなるまで雇う。実質賃金率とは、労働者の
賃金を生産物の量で示したものである。
∴MPL=W/P
また資本も資本の限界生産力MPKが資本の実質レンタル料に等
しくなるまで用いられる。実質レンタル料とは資本(工場の土地建
物や生産機械など)のレンタル料を生産物の量で示したものである。
∴MPK=R/P
この時生産関数F(K、L)が規模による収穫が一定(すなわち
大工場でも零細工場でも一個当たりの生産コストが同じ)ならば、
全ての産出量は要素投入に対する支払いに充てられることになる。
すなわち Y = MPL・L + MPK・K + EP
でEP=0
3.
輸出入が無視できる経済においては、NX=0で、
Y(総生産)=C(消費)+I(投資)+G(政府購入)
である。
この時消費関数Cは租税Tに関してC=C(Y-T)と定義できる。
Y-Tは「可処分所得」でCはY-Tと順相関関係にあると考えら
れる。また貯蓄Sは
S(貯蓄)=Y(総生産)-T(税金)-C(Y-T)
と定義できる。GとTは政治的に決められるので外生変数である。
4.
投資I=I(r)は実質利子率rの逆相関関数である。
すなわち利子率rが高いと貯蓄の方が投資より有利になるので投
資が減る。逆に利子率rが低いと貯蓄より投資の方が利回りが良く
なるので投資が増える。
また政府購入Gが増えたり租税Tが減ると、利子率rが上昇する
が、これを特に「クラウディング・アウト」という。理由はその
分貯蓄Sが減少するからである。
(つづく)
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今回の・・
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ここまでは生産要素(資本ストック、労働力)や生産技術は不変
である状態での話である。
第4章ではこれらが変化する場合について考える。
コブ=ダグラスの生産関数については、またどこかで取り上げる
ことにします。