ハイパーインフレの止め方
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もし仮に貨幣数量説が正しく、そして名目利子率が貨幣需要に何
の影響ももたらさないならば、ハイパーインフレを止めるのはたや
すい。
それは「貨幣の増刷を止めればよい」だけであるから。
だが前回も学んだ通り、名目利子率iは実質貨幣需要に影響する。
だから貨幣量Mを固定しても、名目利子率iが上昇すると実質貨
幣需要は下降し、M/Pも小さくならざるを得ない。
Mが一定でM/Pが小さくなるためにはPが大きくなるしかない。
だから名目利子率が上がれば上がるほど、
「物価水準は上がらざるを得ない」
というわけなのである。
名目利子率は{実質利子率+予想インフレ率}であるから、中央
銀行が貨幣の供給を止めても、そうして人々がインフレの収束を認
識しない限りは下がらないのである。
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デフレ・スパイラル
そして逆にインフレが止まりだすと、逆に「デフレ」が始まるこ
とになる。
貨幣供給をMのまま固定した状態でインフレ率が下がると、今度
は逆に名目利子率iが下がり、貨幣の需要関数Lは大きくなる。
そして貨幣への需要が増えれば、貨幣供給量Mは固定されている
から物価Pは下がることになる。
物価Pが下がったところで止まれば良いが、下がり続けるような
状態になるとデフレ・スパイラルが生じて経済は大混乱に陥るかも
知れない
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※デフレ・スパイラル:
モノが売れない→物価が下落→採算割れ→生産の縮小→労働者の
リストラ解雇→購買力の低下→モノが売れなくなる、、
、、、という悪循環。
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ハイパーインフレを、デフレが起こらないように止めるには、
結局「貨幣の増刷をしない」と中央銀行が宣言し、その瞬間に一気
に貨幣供給量をインフレ率πと名目利子率iの下落に見合うだけ増
やさねばならない。
というのも政府の財政改革や中央銀行の宣言によって名目利子率
が一瞬にして下落するわけであるから、貨幣供給量も一瞬にして需
要に見合うだけ増やさねばならないのである(でないとデフレ)。
もちろんハイパーインフレは、財政がお札の増刷に頼ることによ
って引き起こされるモノだから、政府や中央銀行の態度が毅然とし
たものである必要がある。