IS-LMモデルと総需要曲線
更新日:
■IS-LMモデルのまとめ
----------
IS曲線: Y = C(Y-T)+I(r)+G
LM曲線:M/P = L(r、Y)
IS曲線は、財やサービス市場の均衡を表し、利子率rと所得Y
は逆相関の関係にある(グラフは右下がり)。
企業や家計の計画支出と45度線の交点が均衡点となるケインジ
アンの交差図から導かれる。
LM曲線は実質貨幣残高市場の均衡を表し、利子率rと所得Yが
順相関の関係にある(グラフは右上がり)。
ケインズの「流動性選好」から導出される。
物価水準が「一定」の場合(=短期的)に、IS曲線とLM曲線
の交点に所得Yと均衡利子率rが決定される、、、
というのがIS-LMモデルである。
利子率r
| \ /LM曲線
| \ /
r*| \/
| /\
| / \
| / \IS曲線
|
―――――――――――Y(所得・総生産)
0 y*
IS曲線: Y = C(Y-T)+I(r)+G
LM曲線:M/P = L(r、Y)
------------------------------------------------------------
IS-LMモデルと総需要曲線
------------------------------------------------------------
----------
■物価水準の変化とIS-LMモデル
----------
物価水準P
| \
| \
p*| \
| \
| \
| \総需要曲線AD
―――――――――――Y(所得・総生産)
総需要曲線は、所得・産出Yと物価水準Pによる関数である。
この曲線は物価水準Pと所得Yが逆相関(右下がり)であること
を示しているが、ではなぜそうなるのだろうか?
それはLM曲線:M/P = L(r、Y)を考えればわかる。
つまり任意の貨幣供給量Mに対し物価水準Pを変化させれば、L
M曲線がシフトするのである。
物価水準Pが高くなれば実質貨幣残高M/Pは小さくなり、LM
曲線は左にシフトする。
逆に物価水準Pが低くなればLM曲線は右にシフトする。
その結果均衡利子率rと均衡所得・産出量Yは下図のようになる
から、総需要曲線は上のようになる。
つまり物価水準Pが上昇すると国内所得Yは減少し、逆に物価水
準Pが下降すると国内所得Yは増加するということである。
利子率r LM1(P1)
| \ / LM2(P2)
| \ / /
r*| \/ / 【P1>P2】
| /\ /
| / \/
| / /\IS曲線
|
―――――――――――Y(所得・総生産)
0 Y1 Y2
スタディサプリENGLISH
TOEIC 特訓コース
総需要曲線ADのシフト
そう言うわけで、物価水準が変わる場合には総需要曲線に沿って
所得Yが変化する、、、というより総需要曲線ADは、所得Yと物価
水準Pの関数だから、当たり前である。
では総需要曲線ADをシフトさせる原因は何か?というと、それは
「金融政策」と「財政政策」など外部の要因による。
たとえば公定歩合を引き下げたり国債を買い入れたりして貨幣の
供給量Mを増やすとすると、LM曲線は
M/P = L(r、Y)
だから、LM曲線は右にシフトして、その結果IS-LM曲線によ
る均衡産出量Yが増える。
しかし物価水準Pは短期的に一定だから、総需要曲線ADは右にシ
フトすることになる。
また財政支出を増やし政府購入Gを増やすと、IS曲線は
Y = C(Y-T)+I(r)+G
だから、Yが増加してIS曲線が右にシフトし、その結果総需要曲
線はやはり右にシフトする。
----------
■ケインジアンと古典派の差異
----------
IS曲線: Y = C(Y-T)+I(r)+G
LM曲線:M/P = L(r、Y)
という二つの方程式には、三つの変数がある。
Tは税金でありGは政府購入、Mは貨幣供給量であるから、経済
外で決定される量であるから、変数ではない。
三つの変数とはつまり所得・産出量のY、実質利子率のr、そし
て物価水準のPのことである。
変数が三つで方程式が二つであるから、これらの変数の値を割り
出すにはもう一つ式が必要となる。
古典派の考え方は、所得・産出量Yがある自然率Y^に一致する
ということであり、Y=Y^である。
ということでIS-LMの双方の方程式を満たすように変動すべ
きなのは利子率rと物価水準Pであるということになる。
一方ケインジアンの考えは物価水準が硬直化するということだか
らP=P1で、IS-LMの双方の方程式を満たすように変動して調
整されるべきなのは利子率rと産出量Yである。
長期的には価格や物価水準というものは調整されるモノだと考え
られるから、古典派の仮定が有効になる。
短期的には価格は硬直的であると考えられるから、ケインジアン
の仮定が有効になる。