三つの主体・三つの市場

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 最初の号でも書きましたが、マンキューのマクロのアプローチは
短期的には賃金などの価格の下方硬直化が起こっても、長期的には
市場均衡が起こると考えられる長期分析から始め、そこから短期分
析に焦点を移すというものです。

 

 だから第二部の長期分析では最初に、以下のような仮定を置く。
 すなわち、
・資本ストック、労働力、生産技術は一定である。
・労働力は完全雇用される。
・財・サービスの取引手段としての資産である貨幣の役割について
は無視する。
・他国との貿易はないものとする。
・短期的な硬直価格の役割についても無視する。
ということです。

 

財やサービスの生産

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三つの主体・三つの市場
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 マクロの経済を考える上で、貨幣のフロー循環の流れはまず押さ
えておかねばならない事の一つである。

 

 そしてマクロの経済を動かすのは「三つの経済主体」すなわち、
「家計」
「政府」
「企業」
と、「三つの市場」すなわち
「生産要素市場」
「金融市場」
「財やサービスの市場」
である。

 

 これらの貨幣フローをまず少しまとめておこう。

 

1)企業に関する貨幣のフロー:

 

 企業はまず「生産要素市場」から生産要素を調達する。
 その対価として貨幣は企業から生産要素市場に流れる。
 そして生産した商品は「財・サービス市場」に売り出され、その
対価として貨幣を受け取る。すなわち、

 

{財・サービス市場}  →  企 業  → {生産要素市場}
         (貨幣)    (貨幣)

 

2)家計に関する貨幣のフロー:

 

 家計は「生産要素市場」に資本(株式投資など)や労働力を提供
し、配当や賃金を受け取る。
 家庭は労働力の再生の場であるから「財・サービス市場」から食
料品やその他の衣食住に関わる様々な財やサービスを購入し、対価
として金銭を支払う。
 余った貨幣は「金融市場」(銀行や債権や保険など)に預けられ、
また政府に対しては税金を支払う。すなわち

 

{生産要素市場}
  ↓
  ↓(賃金・配当)
  ↓
「家 計」→(消費代金)→ {財・サービス市場}
  ↓
  ↓→→→(租税)→→→ 「政 府」
  ↓
   →→(民間貯蓄)→→ {金融市場}

 

 

3)政府に関する貨幣のフロー:

 

 政府は家計から租税を受け取る。
 そしてそれでは財政が足りなくなることがあるので、国債を発行
し金融市場から貨幣を集める。
 そして財・サービス市場から様々な財やサービスを購入する。
 これを特に「政府購入」という。すなわち

 

 「家 計」 →→→  (租税)  →→→↓  
 {金融市場}→(国債による調達) →「政 府」
                     ↓(政府調達)  
                 {財・サービス市場} 

 

4)その他のフロー:

 

 金融市場から貨幣は国債の代金として政府へ。また財・サービス
市場に投資として流れる(企業に投資した貨幣が流れるのではなく
財・サービス市場に貨幣が流れる)。

 

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財やサービスの生産

 さて全体の貨幣フローについて概観したところで、次に各部分に
ついてまとめてみる。

 

 まず生産には生産要素が必要だ。
 生産要素とはモノを作るために必要な機械や材料と人手(労働力)
であり、これらの要素を使って(投入して)企業はモノを作るわけ
である。

 

 一般に資本はK、労働力はLで表されるが、一つの商品を造るに
は一定のKと一定のLが必要だから、ある財(またはサービス)が
生産されるとき、

 

Y=F(K、L)

 

という生産関数が定義できる。

 

 これはたとえば餃子を千個作るには餃子の皮が千枚少しとアンが
千個少し分、そして餃子用のコンロと鉄板が二つ、そして人手が二
人必要だ、、、というような関係であり、

 

(餃子千個)=(材料千個分)∩(鉄板二台)∩(人手二人)

 

ということである。

 

 生産関数は基本的に「規模に関する収穫不変(コンスタント・
リターン・トゥ・スケール)」で定義され、もし餃子ロボットなど
ができたりして生産技術が進歩したら、この生産関数自体が書き変
わることになる。

 

 最後に収穫不変であるから、産出量Yを倍にするには全ての要素
を倍にしなければならない。つまり

 

     aY=F(aK、aL)

 

である。

 

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