マンデル=フレミングモデルの復習
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★変動為替レート制下での財政・金融・貿易政策
1)小国開放経済で変動為替相場制の元では、政府購入を増やしたり
減税して消費を増やしても、その分為替レートeが上昇してNX(e)が
減り、結局GDPは上昇せず景気はよくならない
2)貨幣供給量Mを増やすと、為替レートが下がってGDPが増える
3)輸入制限を行うと、為替レートが上がるだけ
★固定為替レート制下での財政政策
1)小国開放経済で固定為替相場制の元では、政府購入を増やした
り減税して消費を増やせば、その分IS*曲線が外にシフトし、為替
レートeが上昇しようとするが、固定制を維持するために政府が貨
幣供給量を増やすのでGDPが上昇して景気がよくなる
2)固定為替レート制下では貨幣供給量を政策によって増やした
り減らしたりはできない。それは固定するレートを維持することが
最優先だからである。ただ固定された為替レートを切り上げたり切
り下げたりすることによってGDPをコントロールすることができる。
3)固定為替レート制下では、貿易を制限するとNXが増大してIS
曲線が外側にシフトし為替レートを上昇させるが、政府が固定為替
レートを維持しようとして貨幣供給量Mを増やすのでGDPが増える。
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変動制か固定制か?
変動為替レート制と固定為替レート制との大きな違いは、
「固定為替レート制では、金融政策を採ることができない」
ということである。
固定為替レート制を維持するためには、IS* 曲線がシフトする度
に貨幣供給量Mを調整しなければならず、他の目的のために金融政
策を採用することはできなくなる。
このために多くの経済学者達は「固定制より変動制」と主張して
きた。
為替レートというたった一つの目的のために金融政策という手段
を失うのは、経済政策を行う側にとって痛い。だからそう主張して
きた。
だが現在の中国のように、輸出と海外からの投資が経済を高度成
長させ、それに国家の威信がかかっているような場合だと、為替レ
ートを低く維持する固定為替レート制が大きな意味を持ってくる。
日本が高度経済成長を続けていた頃は、1ドル=360円の固定為
替レート制であったし、変動相場制になってからも1ドル=300円
前後、240円前後、180円前後、120円前後、、、と段階的に下がっ
てきた。
輸出に多くを依存している経済では、為替レートが固定されてい
る方がそうでない場合より販売予測が立てやすく、生産計画も立て
やすいから経済が安定する。
だが固定為替レート制では、失業対策や景気浮揚のために金融政
策を行って貨幣供給量を増やすことはできない。できることと言え
ば、為替レートの切り下げだけである。
中国の低すぎる為替レートが貿易相手国の経済を停滞させるなら、
いつまでも中国は為替レートを低く維持することはできない。