マネタリー・ベース

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 さてここで貨幣供給をMとし、人々の保有している現金通貨C、
人々が銀行に預けている預金をDとする。

 

 たぶんMがマネー、Cがカレンシー、Dがデポジットの略かと思
うが、そういうわけで貨幣供給量Mは
 貨幣供給量:M=C+D
となる。

 

 次に貨幣供給量Mの三つの外生変数を以下のように定義する。

 

1)マネタリー・ベース:B=C+R (Rは銀行のリザーブ)
   →政府や中央銀行によってコントロールできる部分の貨幣量

 

2)rr:準備/預金率(リザーブ・デポジット・レシオ)=R/D
   →預金のうちどれだけを準備金として残すかという比率。
    法律や銀行の戦略によって率の値が決まる。

 

3)cr:現金/預金率(カレンシー・デポジットレシオ)=C/D
   →人々が貨幣をどういう比率で銀行に預けるかという比率。
    人々の選好によって決まる。

 

 で、貨幣供給量Mをマネタリー・ベースBで割ってみる。
                    C/D + 1
 M/B =(C+D)/(R+D)= ――――――――――
                    C/D + R/D
     =(cr+1)/(cr+rr)

 

 この値を特に「貨幣乗数(マネー・マルチプライア)」と呼び、
mで表すと、貨幣供給Mがマネタリー・ベースBのm倍になって
いることがわかる。

 

 つまりマネタリー・ベースBが1ドル増えると、貨幣供給Mは
mドル増えるということになる。

 

 マネタリー・ベースは、ハイパワード・マネーとも呼ばれる。

 

 上の式から分かることは
・貨幣供給Mは、マネタリー・ベースBに比例する
・準備/預金比率rrが小さければ、mは大きくなり貨幣供給Mは
 増える
・現金/預金比率crが低ければ、人々は銀行により大きな率で現金
 を預け、それによって銀行はより多くの信用創造を行うことがで
 きるから、貨幣供給Mも増える。
ということである。

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 中央銀行は、
・公開市場操作
・必要準備率
・公定歩合
という三つの手段で貨幣供給Mを調整する。

 

 公開市場操作とは、中央銀行による国債の売買によってマネタリ
ー・ベースBを調整するコトである。

 

 中央銀行が国債を買い入れると現金が市場に増える。逆に手持ち
の国債を売り出すと現金が市場から減る。そうやって調整する。

 

 必要準備率とは、中央銀行が普通の銀行の準備率の下限を設定す
ることである。これによって信用創造による貨幣供給が調整される。

 

 公定歩合は中央銀行が各銀行に金を貸したり借りたりする場合の
利子率である。

 

 公定歩合が低ければ各銀行は金をたくさん借り、市場のマネタリ
ー・ベースを増やす。逆なら減らす。そうして調整する。

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