投資とモデル(復習)
更新日:
投資支出を分類すると、
・企業固定投資(企業の生産設備や建物に対する投資)
・住宅投資(人々が住むための住居や家主が貸すために建てる投資)
・在庫投資(原材料や備品、半製品、完成品など、企業がオフィス
や倉庫に保管するモノに対する投資)
の三つになる。
投資に関する新古典派モデルは、議論を簡単にするために極端な
二種類の「生産企業」と「レンタル企業」を想定する。
----------
■「生産企業」(復習)
----------
資本(土地・機械)を借りて財やサービスを生産する企業。
資本をレンタル料Rで借りて生産物を価格Pで売る。
資本一単位の実質費用はR/Pになるので、企業は資本の限界生
産力MPKがこの実質費用に等しくなるまで資本を借入れすると仮
定できる。
生産関数をコブ=ダグラスの生産関数で考えてみると、
Y=A・(K^α)・(L^(1-α)) (0<α<1、^は累乗を表す)
となる。ここでAは技術水準を表すパラメータ係数である。
この場合、資本Kの限界生産力MPKは上の式をKで偏微分した
ものとなるから、
MPK=αA・(L/K)^(1-α) =R/P(実質レンタル料)
となり、この式からわかることは、
(1)資本ストックKが大きければレンタル料は安くなり、逆に
資本ストックKが小さければレンタル料は高くなる。
(2)雇用労働量Lが大きければレンタル料は高くなり、小さけれ
ばレンタル料は安くなる
(3)技術水準Aが高ければ高いほど、レンタル料が高くなる。
であり、たとえば災害などで経済の資本ストックが減れば資本のレ
ンタル料は高くなり、雇用を増やせばやはりレンタル料は上昇する。
生産技術水準が上昇しても、レンタル料は上昇する。
スタディサプリENGLISH
TOEIC 特訓コース
レンタル企業(復習)
レンタル企業は生産を行わず、資本を貸す側の企業であるとする。
たとえばレンタカー会社は「自動車という資本を保持」し、それ
を貸すことによって生業(なりわい)とする。
つまり資本Kを借りて生産を行う上述の生産企業と正反対の企業
で、(たとえば)自動車という資本一単位をレンタル料R/Pで貸
す側である。
レンタル企業が資本を一単位(この場合だと自動車一台)購入し
て保持するには様々なコストが生じる。
(1)利子(機会費用)
購入資金を、資本を購入せずに貸し付けることによって得られる
利子iPk(Pk:資本一単位の価格、i:名目利子率)。
(2)資本価値の変動
またこの資本を一単位買ったあとに価格が下がれば、その分だけ
損になるし、逆に上がれば利益になる(これをΔPkとする)。
(3)原価償却
よって資本一単位(たとえば自動車一台)を一期間保持する場合
の資本コストは、減価償却率をδ(Δの小文字)とすると、
(資本一単位の保有コスト)= iPk-ΔPk+δPk
= Pk(i-ΔPk/Pk+δ)
となるが、ここでさらに議論を簡単にするために、資本価格の変動
が他の資本価格の変動と同様で、つまり自動車の値上がり率も土地
の値上がり率も生産機械の値上がり率も同じと言う仮定である。
(ΔPk/Pkが一般のインフレ率πに等しい)。よって、
(資本一単位の保有コスト)=Pk(i-π+δ)
であり、(名目利子率)-(インフレ率)=(実質利子率)だから、
i-π=rだから、結局資本コストは
Pk(r+δ) :資本一単位の価格×(実質利子率+減価償却率)
となる。
そしてこれを経済の価格水準Pとの比率で表して、実質資本コス
トを考えると、
実質資本コスト = Pk(r+δ)/P
となる。