資本の黄金律水準
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経済の定常状態は貯蓄率(投資率)sで決まる。
そしてこのsは外生変数である政府購入Gや租税Tによって影響
を受けるから、経済の定常状態は政府の政策によって上下すること
になる。
ここでまず個人の所得勘定の式y=c+iから、c=y-iを導
いてみる。
というのも経済に属する個々人が最も関心を持つのは「どれだけ
の消費が可能であるか」ということであり、政策決定者が気を配る
のは個人の消費水準だからである。
さて定常状態では一人当たりの資本ストック量はk*であるから、
一人当たりの産出量はy=f(k*)となる。
定常状態とはΔk=0だからi=δk*で、これによって定常状態で
の一人当たり消費c*は、
c*=f(k*)-δk*
である。
この式は
{定常状態での一人当たりの消費}
が
{定常状態での一人当たりの産出量}と{定常状態での減価償却}
との「差」
であることを意味している。
y、δk δk*資本の一人当たり減価償却
↑ /
| _――――――― f(k*)一人当たり産出高
| / /
| /|c*gold
| / | /
| / /
| / /
|/ /
| /____________
0 k*1→ k*gold ←k*2 k*
k*での一人当たり産出量と一人当たり減価償却をグラフにすると
上のようなグラフになるが、これより c*=f(k*)-δk* を最大
にするある一点が存在することがわかる。
この c* を定常状態の消費を最大化する「黄金律」と呼ぶ。
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この時資本の限界生産物(資本量を1単位増やした時に生じる産
出量)MPKは、f(k*+1)-f(k*) で、一方資本を一単位増やした
場合の減価償却の増分は δ(k*+1)-δk*=δ であるから、ある
定常状態での消費 c*=MPK-δ である。
で、資本ストックの定常状態k*が黄金律より低い状態(k*1)であ
ると、「資本kの増加は消費の増加をもたらす」。
逆に資本ストックの定常状態が黄金律より高い水準(k*2)であると
「資本kの増加は消費の減少をもたらす」。
つまり資本ストックの定常状態が消費を最大となっている点では、
MPK=δ
となっており、
「経済が定常化している状態で消費を最大にする黄金律」
の点なのである。
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資本の黄金律おさらい
閉じた経済(NX=0)では、貯蓄率sが一人当たり資本ストックの
定常状態 k* を決定する。
この時一人当たりの産出量(生産高)は y=f(k*) となる。
だが貯蓄率sは外生変数によって影響を受ける。すなわち貯蓄S
は総生産から税金と消費分を差し引いたモノであるし、政府購入G
の大きさによっても影響を受けるから、それらを調整することによ
って様々な k* のうちからある一つのk*を選ぶことが可能である。
それでは政策決定者は、政治的な観点からどういう定常状態 k*
を目指すべきなのだろうか?
それはもちろん国民一人当たりの消費水準の最も高くなる k*
であろう。というのも国民は普通、一人当たりの資本ストックや生
産高や投資などを意識せず、消費以外には殆ど興味がないからであ
る。ではこの時一人当たり消費水準 c* はどうなるだろう?
y=c+i より c=y-i で、y=f(k*)。
また定常状態ではΔk=i-δk=0だから、i=δk*。
よって c*=f(k*)-δk* である。
y、δk δk*資本の一人当たり減価償却
↑ /
| _――――――― f(k*)一人当たり産出高
| / /
| /|c*gold
| / | /
| / /
| / /
|/ /
| /____________
0 k*1→ k*gold ←k*2 k*
k*での一人当たり産出量と一人当たり減価償却をグラフにすると
上のようなグラフになるが、これより c*=f(k*)-δk* を最大
にする点が存在することがわかる。
一人当たり資本ストックの定常状態値 k* のうち、消費水準が
最も高水準になる k* を「資本蓄積の黄金律水準」と呼びk*gold
と書く。
さてここでMPKは、f(k*+1)-f(k*) で、一方資本を一単位増
やした場合の減価償却の増分は δ(k*+1)-δk*=δ より定常状
態での消費 c*=MPK-δ であるから、資本ストックの定常状
態が消費を最大となっている点では、
MPK=δ
である。
sf(k*) = δk*