財やサービスの需要
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ここまでの話を少しまとめておくと、
1)生産水準を決定するのは、存在する生産要素(資本Kおよび労
働量L)の量と、生産関数(Y=F(K、L))である。
時間が経って資本や労働の量が増えれば産出量は増えるし、生
産技術が向上して利用可能な技術が改善されれば産出量も増える。
2)産出した所得の分配は、限界生産力に応じて労働報酬MPL・L
と資本報酬MPK・Kに分配される。
ということである。
さて次に考えるのは、生産によって得られた産出物がどのように
使われるか、、、、である。
前述したとおりGDPは「消費C」「投資I」「政府購入G」
「純輸出NX」という四つの構成要素からなっている。
現在議論している経済は、他国との貿易が無視できる「閉じた経
済(閉鎖経済)」でNXはゼロであるから、国民所得勘定の恒等式は
Y=C+I+G
である。この三つの相関について少し考えよう。
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■消費C(ConsumeだからC)
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消費の主体は「家計」である。
家計は経済の総産出Yを労働報酬と資本報酬という形で「全部」
受け取るが、このうち政府にTだけの税金を支払う。
収入Yから税金Tを引いた金額がすなわち「可処分所得(ディス
ポーザブル・インカム)」であるが、家計はこの可処分所得を「消
費」と「貯蓄」に振り分ける。
とすると消費関数はC=C(Y-T)と定義できる。
可処分所得とは「消費してもよい所得」であるから、消費関数は
基本的に右上がりになる。
C(消費)
↑
| /C=C(Y-T)
| /
| /
|--------/
| /
| /
| /
|/
0 ―――――――――――→可処分所得Y-T
そして消費関数C=C(Y-T)の傾きがMPCつまり
「限界消費性向(マージナル・プロペンシティ・トゥ・コンシュー
ム)」
である。
限界消費性向は、所得が一単位増えたときに消費が何単位増加す
るかという指標であり、C=C(Y-T)の微分係数である。
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投資と政府購入
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■投資I(InvestだからI)
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企業も家計も投資を行う。
投資は利子率に大きな影響を受ける。というのももし利回りが5%
の投資機会があったとしても、銀行に預ければ10%の利子が付く場合
はこの投資には金が回らないのが普通だからである。
すなわち
「利子率が高いほど収益性のある投資計画は少なくなる」。
投資は利子率rの関数だから、I=I(r)と定義される。
r(利子率)
↑
| \
| \
| \
|---------- \
| ・\
| ・ \
| ・ \I=I(r)
| ・ \
0 ―――――――――――――――→I(投資)
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■政府購入G(GorvenmentのG)
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政府は道路や橋や公園、学校や図書館などの公共物を建設し、公
務員を雇って公共サービスを行う。このための支出が政府購入G
である。
ただし福祉や社会保障のための支出は政府購入には含まれない。
というのも「何も買わないから」である。
福祉などの支出はお金を政府から福祉の対象者に「移転」した
だけであり、それは対象者の「所得」なのである。よってこれは
政府購入には入らない。消費になる。
でここで税金Tとの関連だが、均衡財政では当然G=Tとなる。
赤字財政ならG>Tであり、黒字財政ならG>Tである。
だがこれらを決めるのは「効率」ではなく「政治」であるから、
これらの数値は経済システムの外部で決まる「外生変数」なのであ
る。
一方CやIは「内生変数」である。
外生変数が内生変数にどう影響を及ぼすか、次の項で考える。