総供給曲線・まとめ
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戦争とか大災害でもなければ、総供給Y(=GDP)が大きく減った
りするということは考えにくい。
そしてまた財やサービスの供給力というのは、生産関数F(L、K)
で示されるように、労働力と生産に利用可能な資本(土地や機械)
によって上限が決まっているし、それを消費する側の消費レベルも
同じく上限が決まっているから、突然総供給が倍に増えたりという
こともまずない。
だから総供給というものは長期的には「一定」で、IS-LM曲線を
導出するときも長期的総供給'LRAS'は物価水準Pによらず一定であ
るという仮定を置いていた。
グラフにすると、
物価水準P
↑
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| |
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| |LRAS
|
0 ―――――――――――Y(所得・総生産)
という感じで、垂直に立つ。
そして一方短期的には「価格が硬直的」であるという仮定から、
短期的な総供給'SRAS'は、下図のように水平になる。
物価水準P
↑
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| ――――――――――
| SRAS
|
|
|
0 ―――――――――――Y(所得・総生産)
一方が垂直で一方が水平、じゃ実際は? ということになるが、
中間的な期間で考えると短期的な視点の「価格が硬直的」というの
が少し怪しくなる。
短期的には価格水準は硬直的であると言うけれど、野菜や魚と言
った生鮮品は毎日のように価格が変わる。
同じ労働投入量・資源投入量で生産した財やサービスでも、ライ
バル企業との競争が一度生じると、電話会社や牛丼屋の値下げ競争
のように毎日のように価格が変わる。
つまり本当は短期的に考えても
「すべての財やサービスの価格が硬直的」
であるという仮定は置きにくい。
上がるとなると殆どの価格が上がる方向に動くし、逆に下がると
なると多くの価格が下がる方向に動く(コスト・プッシュ・インフ
レやデフレ・スパイラル)から、おしなべて価格が硬直的であると
いう仮定も怪しくなる。
じゃあ総供給って一体何に影響されて決まるんや?
じゃあ価格水準Pと総供給量Yの間の関係はどうなるんや?
というのが前回までの四回分の話。
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総供給モデル
総供給モデルは自然状態による生産量Y^から、実際の生産量
Yがどれくらい乖離しているのかという観点から考える。
つまり失業率が自然失業率程度であるような状態での生産量
と比べて、どのくらいズレているかという風に見るのである。
で、実際の価格水準Pに生産量Yが対応するのと同様に、自
然率における生産量Y^に価格水準Peを対応させてみる。
自然率状態における価格水準とはつまり、人々が想定してい
る価格水準で、これを期待価格水準と呼ぶことにする。
YとP、Y^とPeが対応するなら、関数的には
∂y/∂p = α となる。
そういうわけで
Y:生産量Y^:自然率水準の生産量
P:価格水準Pe :期待価格水準
としたときに、総供給モデルは
Y=Y^+α(P-Pe) α>0
となるわけである。
物価水準P
↑
| / Y=Y^+α(P-Pe)
| /
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| /
| /
| /
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0 ―――――――――――Y(所得・総生産)