外国が減税すると、自国通貨は割安になる
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世界を1つの大きな閉鎖経済だと考えると、世界利子率r*は世界
貯蓄Swと世界投資Iwが釣り合う利子率に決まることになる。
で、海外の多くの国が政府購入を増やしたり減税したりすると、
S=Y-C-Gだから世界貯蓄Sw が減り、投資に回るお金が少な
くなるので世界利子率r*が上昇することになる。
世界利子率r*が上昇すると、国内に投資するより海外に投資する
方が有利になる(という場合が増える)ので国内投資Iが減り、そ
の結果国内のS-Iは大きくなる。
S-I=NXだから輸出NXは増えようとするが、そうなると実
質為替レートεは逆向きに動いて下がる。
ε(実質為替レート)
↑ S-I
| \ | →|
| \| |
ε*|----------\ |
| |\ |
↓| | \|
ε"|----------|----\
| | |\ NX=NX(ε)
| | | \
0 ―――――――――――――――→NX(純輸出)
貿易赤字 →→ 貿易黒字
結局
「外国が減税したり政府購入を増やすと、自国通貨は安くなる」
と言うことになる。
日本やアメリカのような経済大国が減税したり政府調達を増やす
と、台湾や韓国や東南アジアの貿易立国のお金の価値が下がる、、
ということかな?
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保護主義政策と貿易赤字
国家は特定のモノやサービスの輸入を制限したり、高い関税をか
けて国内産業を「保護」しようとする事が多い。
この保護主義政策は、果たして貿易赤字を減らす効果をもつか考
えてみる。
たとえば車やスーパーコンピューターの輸入に高い関税を掛けて
輸入を減らす。
そうして輸入を減らせば確かに純輸出NXは増えるように思うが、
実はNXは変化しない。
というのも国内のS-Iは世界利子率r*によって決まりS-I=
NXだからである。
となると何が変わるんだろうが? というと、純輸出NX曲線が
シフトするのである。
ε(実質為替レート)
↑ S-I
| \ \ |
| \ \|
ε*|----------\--- \
| \ |\
↑| \| \
ε | --------------\ \NX=NX(ε)
| |\
| | \NX=NX(ε)
0 ―――――――――――――――→NX(純輸出)
貿易赤字 →→ 貿易黒字
顔を右に九十度傾けて上の図を見る(NXはεの関数)。
為替レートεの元で保護主義的政策(数量規制・高関税)で純輸
出NXを黒字側に引き上げようとすると、NX曲線は右にシフトす
ることになるが、S-Iは変化しないから替わりに実質為替レート
εが上がることになる。
εが上がると自国のモノやサービスは相対的に割高になるので、
その分他の財やサービスの輸出が減って、結局貿易収支は変わらな
い。
なんだか堂々巡りの議論みたいだけど、ここでは利子率rが世界
利子率r*に固定されているので、そう言うことになるわけである。
結局
「保護主義的政策は単に実質為替レートεを変化させるだけで、
貿易赤字解消には役立たない」
ということになる。
保護された業界は潤うが、他の業界はその分損をするということ
である。