ケインズの流動性選好理論
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計画支出:E=C(Y-T)+I+G
均衡水準:Y=E
・利子率rは、計画投資水準Iに影響を与える。
rが高くなれば投資水準Iは下がり、その結果産出水準Yが下が
る。その関係を示すのがIS曲線である。
IS曲線はrとYの逆相関関数である。
・政府購入Gの増減はIS曲線をシフトさせる。
政府が政府購入Gを増減させても直接利子率を変化させることは
ない(?注)ので、IS曲線を平行移動させる
政府が政府購入を増やしたり減税を行うと計画支出曲線は上にシ
フトするのでGDP(所得・産出)の均衡点が上昇して国内所得が
増える。
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ケインズの流動性選好理論
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■実質貨幣残高の供給と利子率
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実質貨幣残高、、、って何だっけ?
実質と言うからには名目でないということで、貨幣量Mを価格水
準Pで割ったM/Pのことである。
短期的な分析では、モノの値段が需給関係にすぐに反応しないと
いう前提で考えている(売れないからといってすぐ売値は下がらな
いといったこと)ので、Pは短期的には一定である。
一方貨幣量Mは政府や中央銀行の意志によってその供給量が決定
されるものだから、このモデルの外部で決まる変数(外生変数)で、
M/P=(一定)
とする事ができる。
グラフに表すとM/Pの供給曲線は利子率に左右されないから
下図のように垂直に立つことになる。
利子率r
| |M/P(供給)
| |
| |
| |
| |
| |
| |
―――――――――――M/P(実質貨幣残高)
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■実質貨幣残高の需要と利子率
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実質貨幣残高M/Pの「供給」は、硬直的な価格水準Pと政府や
中央銀行が決める貨幣供給量Mによって決まり、利子率rとは無関
係である。
一方実質貨幣残高M/Pの「需要」は、利子率rとは無関係では
ない。というのも貨幣を手元に置いておくと「貨幣の保有コスト」
が生じるからである。
つまり銀行に預金したり投資に回したりすれば利子率r分だけ資
産が増えるが、手元に置いておけばその分は手に入らない。
人々が貨幣を手元に置くのは、貨幣が取引や決済に必要だからで
あり、「貨幣が流動性のある資産」(取引の手段としていつでも利
用できる財産)であるからである。
この流動性資産(貨幣)に対する需要をLとすると、Lは利子率
rの関数であると考えられる(L:リクイディティ←リキッド(液
体))。
利子率rが上昇すると貨幣の保有コストが上がるから、当然関数
L(r)は下がる。rとLは逆相関である。
関係をグラフで示すと下図のようになる。
利子率r
|
| \
| \
r| \
| \
| \
| \L(r)
|
―――――――――――→M/P
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TOEIC 特訓コース
貨幣と非貨幣のポートフォリオ
実質貨幣残高の「供給」と「需要」が一致するところに利子率r
が決まる
、、、というのがつまり「流動性選好理論」である。
利子率r
| \ |M/P(供給)
| \ |
| \ |
| \|
r|……………|
| | \
| | \L(r)
―――――――――――M/P(実質貨幣残高)
もし利子率が高すぎれば、人々の貨幣に対する需要が減る。
逆に利子率が低すぎれば、人々の貨幣に対する需要が増える。
その結果、人々は自らの貨幣と非貨幣のポートフォリオを調整し、
利子率rは貨幣市場の需給関係を均衡させる方向に進む。
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■金融引き締め政策と利子率
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金融引き締め政策は、長期的にはインフレを収束させる。
しかし今回の流動性選好理論を用いると、政府が金融を引き締め
て貨幣の供給量Mを減らした場合、利子率rは上昇することになる。
つまり貨幣量Mを急に減らしてもすぐには物価水準Pは下がらな
いので、M/Pは小さくなる。
そうすると実質貨幣残高M/Pの供給曲線(垂直線)は左へシフ
トするので、利子率rは上昇することになる。
利子率r
| \ |←|M/P(供給)
| \| |
r'|………\ |
↑| |\|
r|………|…|
| | | \
| | | \L(r)
―――――――――――M/P(実質貨幣残高)
「金融引き締め政策は、長期的にはインフレを収束させるが、短期
的には利子率を上げる」
ということになる。