労働効率性E(efficiency of labor)
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■労働効率性E(efficiency of labor)
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労働の効率性をEで表すことにしよう。そうすると労働Lは
L×E
で置き換えることができる。
すなわち生産関数F(K、L)はここで、F(K、L×E)と書
き換えられるわけである。
そして人口成長率をnとしたように、技術進歩率をgとしてみよ
う。
g=0.02なら、毎年2%ずつ労働効率が向上して同じ労働者数で
も生産量が2%ずつ増えるわけである。
ここでgは「労働増大的技術進歩率」と呼ばれるが、こうすると
生産関数自体をいじらなくても技術進歩をモデルに組み込むことが
可能になるわけである。
そう言うわけで毎年の労働増加分を考えてみると、
ΔL = (1+n)L×(1+g)E - L×E
= L×E{(1+n)(1+g)- 1}
ここでn≪1,g≪1のとき、ng≒0と近似できるから、
ΔL = L×E(n+g)
ここで
■労働効率当たり資本ストック: k'=K/(L×E)
■労働効率当たり生産関数f: f(k')=F(K/L×E、1)
■労働効率当たり資本ストックの変化:
Δk'=sf(k) - (δ+n+g)k
■黄金律の場合: MPK=σ+n+g
となるから、
i、δk (δ+n+g)k
↑ /
| _――――――――sf(k')
| / /
| / / ・
| / / ・
| / / ・
| / / ・
|/ / ・
| /_____________
0 k'* k
である。
労働効率当たりの産出高を y'とすると、定常状態ではy'=(一定)
だから、一人当たりの産出量Y/Lを考えると
Y/L = y'×E
で、Eは毎年gずつ増えているわけだから確かに
「技術進歩は一人当たり産出量(資本ストック)を増やしている」
のである!
経済全体の産出量Yについて考えると、
Y= y’×L×E
だから、そういうわけで経済全体では(n+g)ずつ毎年ストックが
増えていくことになる。
つまりこれが実質賃金上昇の第二の源泉である。
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インフレに対する社会的誤解
さて世間一般には「インフレになると、生活が苦しくなる」と言
うような考えがある。
「給料が上がっても、インフレがあると買えるモノが増えない」
ので
「生活が苦しい」
という。
確かに賃金の上昇速度より物価水準の上昇速度の方が速ければ、
同じ給料で買えるモノの量は減ることになるから生活は苦しくなる
が、だからといってそれがインフレのせいだと考えるのは大きな誤
解である。
上で復習したとおり国民の一人当たりの所得(実質賃金)という
のは
・経済が定常状態にまで「成長」する場合
・技術革新によって労働生産性が上昇する場合
に増え、
・人口増加が急な場合
には減る。
そして一方インフレとは、前回までで考えたとおり貨幣供給量が
貨幣需要量を上回ることによって引き起こされる現象で、つまり
{貨幣量の変化率}≒{実質国民所得の変化率}+{インフレ率}
という貨幣の数量方程式の差分形からもわかるとおり、
・実質国民所得の増加(%)より貨幣供給量を増やす(%)とイン
フレになる
・実質国民所得の増加(%)より貨幣供給量を減らす(%)とデフ
レになる
というだけのことである。
だから中央銀行がジャンジャンお札を刷ってばらまかない限り
(政府の発券収入はインフレ税である)、賃金の上昇とインフレは
別問題である。
言ってみれば非常に「表面的な問題」であり、途上国経済などに
よく見られるような人口増加による一人当たりGDPの低下と同じ
く、非常に「相対的な問題」なのである。
経済学を学ぶ者は、この点を常にしっかり押さえておかねばなら
ないだろう(もちろん長期的な分析では、、という意味であるが)。