閉じた経済と開放経済のちがい
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小国開放経済におけるIS-LM分析の数式は
IS曲線:
Y=C(Y-T) + I(r) + G + NX(e)
LM曲線:
M/P=L(r、Y)
利子率
r= r* (世界利子率)
である。
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■為替レートeとLM曲線
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小国開放経済における利子率rは世界利子率r*にほぼ一致する
という仮定より導き出したIS曲線を特にIS* 、LM曲線を特に
LM* とする。
この場合LM* 曲線は為替レートeと直接には関係がない。
もちろんIS曲線とLM曲線が交わる点で利子率rと総需要Y
が決まるわけだから、最後には為替レートが影響するわけだが、
実質貨幣残高(貨幣の供給)と貨幣需要のバランスの面からrと
Yの関係を探るLM曲線では、為替レートは関係してこない。
そういうわけだから為替レートeと総生産Yのグラフを描くと、
LM*曲線は垂直に立つことになる。
そして利子率rを世界利子率r*に固定したときに、IS*-LM* 曲
線の交点によって均衡為替レートeが決まるのが、つまり「マンデ
ル=フレミング・モデル」の一つなのである。
為替レートe
| \ |LM*
| \ |
| \|
e*|……………\
| |\
| | \
| | \IS*
――――――――――― 総生産(総所得)Y
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閉じた経済と開放経済のちがい
政府が政府購入Gを増やしたり、税金Tを減らしたりして国内の
支出を増やした場合を考える。
閉じた経済だと、こういう政策を行えばIS-LM分析では
Y=C(Y-T) + I(r) + G
だから、
利子率r
| \ \ /LM
r| \ \/
↑| \/\
r| /\↑\
| / \↑\IS'
| / \IS
―――――――――― 総生産(総所得)Y
y→y'
で、利子率rも上がるしGDPも上がることになり、景気が良くなる。
貨幣供給量Mを調整すればLM曲線を下げることができるから、
利子率を上げないでGDPを上げることも可能である。
ところが、開放経済ではIS*曲線が
Y=C(Y-T) + I(r*) + G + NX(e)
だから、マンデル=フレミング・モデルのグラフを描くと
為替レートe
| \|LM*
e'| \ \
↑| \|\
e*| \ \
| |\↑\IS*'
| | \
| | \IS*
――――――――――― 総生産(総所得)Y
となり、まず為替レートeが上がってしまう。
為替レートeが上昇すると、その分輸出が減る事になるわけだが、
どれくらい減るか? と考えてみると実は上の図の横軸はYであり、
LM*曲線は垂直に立っているわけだから、Y=(一定)なのである。
Yが一定であると言うことは、
Y=C(Y-T) + I(r*) + G + NX(e) =(一定)
ということだから、
「政府購入Gを増やした分だけ、NX(e)が減る」
「税金Tを減らしたお陰で増えた消費Cの増えた分だけ、NX(e)が
減る」
ということになる!!!
つまり政府がモノをたくさん買ったり、減税したとしても、開放
経済で変動為替相場制の元ではGDPは増えないというわけである。
ビックリしたのでここで今回はお終い。