お客様は「ゲスト」、企業はエクスペリエンス・ステージャー
まず「コモディティ」は代替可能である。
A級の小麦粉は商社経由で買っても、直接産地に買い付けに行っても、A級の小麦でありA級の値段が付く。
そしてB級の小麦はどこで買っても、どのような経路で買ってもB級であって、それ相応の値段しか付かない。
そして2つめの「商品」は有形である。
商品とは上記のコモディティを加工したり組み合わせたりして形あるものとしたモノである。
コモディティの生産力が消費力を上回っている状態では、それを元にする商品も溢れる。
というのも商品は有形であり、生産性が向上すると、山ほど生産されて余るようになるからだ。
3つ目の「サービス」は無形であり、カスタマイズされて提供される。
そして重要なことは、サービスはコモディティと商品を利用しながら、提供される経済価値だということだ。
たとえば散髪は水やシェービング・クリームやシャンプーといったコモディティと商品を使い、理容師のテクニックによって提供される。
散髪というサービスを行うときは「もみあげはどうしますか?髪を切る長さは?パーマ当てますか?眉毛の下を剃りますか?」などと、顧客にサービスの提供方法を選ばせるの普通である。
これは喫茶店やレストランだって同様で、喫茶店なら何を飲むか、レストランなら何を食べるか、そして複数のオーダーがある場合は、どのように持ってくるか、顧客がサービスの方法を選ぶわけである。
つまりサービスは、コモディティと商品を、顧客の注文に応じて手を加えて提供されるわけだ。
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経験価値では、顧客は「ゲスト」になる
そして第四の経済価値である「経験(エクスペリエンス)」は思い出を作る。
経験(エクスペリエンス)はコモディティと商品、さらにはサービスをも組み合わせた状態で提供される経済価値なのだ。
たとえばディズニーランドやユニバーサル・スタジオには、大量の水や岩などといったコモディティを使い、喫茶や食事といったサービスが提供される。
ジェットコースターやジャングル・クルーズなどといった、今ではどこの遊園地でもありそうな、ありふれた「サービス」も存在する。
顧客はこれらの中からサービスを選択するが、ただそれだけではない。
「ゲスト」として「ホスト」の用意した、様々なもてなしを受けるわけだ。
ホストの用意した様々なサービスを選択しながらも、しかしホストのもてなしの中にいる。
つまり経験(エクスペリエンス)価値という経済的オファーを購入する人々は、カスタマー(顧客)ではなく「ゲスト」になる。
一方ホストたる企業はゲストを迎えるために様々な商品やサービスを取り揃えて舞台をステージング(用意)する「経験(エクスペリエンス)ステージャー」なのである。
サービスは「代行・配達」であり、顧客の代わりに何かをすると言うことだったが、エクスペリエンスというのは「経験・体験づくり」であり、顧客を楽しませる、顧客を驚かす、といったものなのだ。