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希少性と物語
希少性のあるこれらの商品は、二次市場で正価の何倍もの価格がつき、マニアの間で取引される。
物質的な見方をすれば、エア・ジョーダンのシューズも、他のタダのスポーツ・シューズと殆ど替わりないが、しかしそこには他のシューズとは異なる「物語」が伴っている。
このモデルを使っていた時のジョーダンはこうだった、別のモデルを使っていたころのジョーダンはこうだった、そのとき自分はこうだった…こういう物語が希少性のある商品には付きやすい。
30年も売れ続けている商品があったとしても(もちろんそれはそれで凄いことだが)、その商品は特定の時空と結びつくことはない。
昨日もある、明日もある、何百万個も何千万個も売れている商品は、それを所有しても使用しても、滅多なことではそれ自身が思い出になることはない。
だが希少性のある商品は、それを手に入れるために奔走したことすら、一つの思い出を創り出す。
シャネラーは世界各地で販売された、ご当地モデルも全て手に入れようとする。
ナイキ・マニアは中古のエア・ジョーダンですら、何十万円もの金を出して手に入れようとする。
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カタログにはあるが手に入らない幻の商品。
それを探し求めてやっと巡り会えたという感動。
それは確かに企業によって作り上げられたり、仕組まれたりするイベントではあるが、そういう希少性や手に入りにくさも、経験(エクスペリエンス)価値を高めるのである。
このように商品を限定し、物語やサイド・ストーリーを用意し、人々にそれを手に入れる喜びや、手に入れる過程での苦労を経験させる。
それをステージング(演出)できる企業こそが、経験経済における高付加価値企業となるのである