顧客に与える印象は共通していなければならない
テーマはエクスペリエンスの基礎となる。
だがテーマを上手く決めたからと言って、良いエクスペリエンスを顧客の心に届けられるかどうかは別の話である。
エクスペリエンスはそれを体験する個々の個人にそれぞれ別の思い出を作るが、しかし全体としては共通した印象を持たねばならない。
AさんとBさんとCさんがディズニーワールドに出かけて、Aさんだけミッキーマウスに出会え、他の二人はミッキーマウスに一度も出会えないなんていうエクスペリエンスでは話にならない。
Aさんはトゥーンタウンでミッキーに出会い、Bさんはファンタジーランドでミッキーに出会い、そしてCさんはまた他の場所で出会うと言う風に、とにかくどこかで出会っていなければならない。
それぞれが出会って体験していることは実は別のことであり、そこから生み出されるエクスペリエンスは個々に異なるが、ディズニーランドでミッキーマウスに出会うというエクスペリエンス自体は共通していなければならない。
そうであればこそ家庭や職場に戻って話をしたときに、話が合ったり印象が合ったりするわけである。
別の例で言えばクラブのOB会。
全く面識のない先輩と後輩でも、そのクラブで体験した経験は似たり寄ったりで、しかも練習した場所や集まった場所、合宿の様子などは毎年毎年同じだったりする。
体験している時期やその体験自体は異なっていても、夏の合宿が暑いのはたいてい同じだから話は合う。
いやな幹部がいるのは大抵いつの時代でも同じだから話は合う。
そして共感する。
だがこれは共通したエクスペリエンスのベースがあるからこそ可能なことで、共通したエクスペリエンスが存在しなければ、その話は一方的になり楽しくないわけである。
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顧客に共通の印象を与えるには、中途半端ではダメ
テキストでは、共通した印象について、次のリストが挙げられている。
バーン・シュミットとシモンソン教授のリストで、六つの総合印象のリストである。
それは以下の通りである(テキストA92ページ)1.時間の印象:過去である/現在である/未来である。
2.空間の印象:都市/田舎/東洋/西洋3.テクノロジ:メカニカル/ハンドメイド4.本物らしさ:本物っぽい/偽物っぽい。
5.洗練度:洗練されている/野暮ったい6.規模:壮大/小さいこれらの項目について、「どっちつかずではダメだ」と言うことだろう。
AさんBさんCさんがディズニーランドや、USJに出かけて同じアトラクションを見たとき、Aさんはそのアトラクションを東洋のモノと感じ、Bさんは同じアトラクションを西洋っぽいと感じたら、共通の印象とはならない。
これらの印象がABCの三者で共通になるように、エクスペリエンスをステージングしなければならない。
ということは結局「中途半端」や「ごちゃまぜ・なんでもかんでも」では、顧客にバラバラの印象しか与えられないということである。
もちろん「ごちゃまぜ・なんでもかんでも」という印象も、一つの印象ではある。
たとえばディスカントストアのドン・キホーテは、「ごちゃまぜ・なんでもかんでも」置いてある様子だが、しかしどの支店に行っても同じような「ごちゃまぜ・なんでもかんでも状態」であるから、顧客はドン・キホーテに対して共通の印象を持っている。
そして「ドン・ドン・ドン、ドンキー、ドン・キホーテ、いつでもどこでも楽しいお店ー」と、どの店でもテーマソングが流れているから共通の印象を持っている。
※ドン・キホーテ↓http://www.donki.com/そういう風にエクスペリエンスを提供する企業は、別のお客が行っても、別の店舗に行っても、テーマとベースの印象は共通にしなければならない。